第51話 ボンタン
サッカー部に入った私は、時々部活にも行った。
サッカー部には時々ラグビー部の人たちも来ていた。
結局は練習なしで喋っていたりしただけだったけど(笑)
私は、一度、用事があり3年生の教室がある廊下を歩いたことがあった。女子の先輩にジロジロ見られて恥ずかしかったのと、イカつい先輩が怖かったのとが入り交じり変な感じだった。
廊下で煙草を吸って座り込んでいる先輩がいた。
「ほら、亀山。願書出しに行くんやろ?早くせぇ。」
と、先生がその先輩に言っていた。
すると、煙草を吸っていた先輩が
「待って!もぅちょいやから。後、一服吸わしてや。」
と先輩は先生に言った。
私は心の中で
『ガチョーン…。あ…あの人が目茶苦茶強いっていう亀山先輩か…。』
ガチョーンって古い?
亀山先輩は3階の廊下の窓から、煙草をでこぴんするようにして指で弾きながら捨てた。
亀山先輩は、どうやら受験するらしかった。
『あれでも、受験はできるのか…。でも、ホンマに強そうで悪そうだ』
と心の中で思ったのは言うまでもない…。
3年が部活を卒業した今、2年生の天下となっていた。
岡本組のアッ君は、よく1年生に恐怖のキッカンをやった。
キッカンとは、おもいっきり遠くへボールを蹴り、そのボールを後輩に走って取りに行かせる。
ボールを1番に取ってくれば抜けられる。
最後まで取れない人は体力的に、精神的に悲惨だった。
私はサッカー部に入ったばかりだったが、2年だったので幸いキッカンをすることはなかった。
そんなある時、私は中村君ことパパにハイウエストのボンタンを貰った。
だが、パパはかなり背が高かったから私が履くとかなり大きかった。
ハイウエストは普通はおなかのあたりまでだけど、私が履くと胸のあたりまでハイウエスト部分がきていた。
だから、その部分は折って、昔のヤンキーみたいに紫の部分を出していた。
ズボンをくれた理由もバイクでこけて膝部分が少しだけ破けたからだった。
私が履くとほんと、ズボンが歩いてるみたいな感じになって、後輩にも笑われながら
「雨夜君バリバリですねー」
なんて言われてた。
恥ずかしいよーな、嬉しいよーな、初めてのボンタンだった。
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