第26章 新米靴職人、世界の真実に触れる

「今こそだ――『VRMMO:DREAM of WORLD』というゲームのすべてを、最初からしっかり学ぼう。」




そう心に決めて、私はいつものようにただの掲示板を眺めるのではなく、ゲームの公式サイトにアクセスし、「初心者ガイド」という項目をクリックした。




【初心者のためのガイド】


ゲーム初心者ですか?他のゲームにもあまり詳しくない?


――それなら、ここがあなたにとって最適の場所です!




数百万人のプレイヤーが冒険する『VRMMO:DREAM of WORLD』へようこそ。


まず最初に覚えてほしいのは、このゲームでは「何でもできる」ということです。


人気のある職業を選ぶもよし、誰にも注目されない職業を極めて職人として活躍するもよし。


戦闘職に興味がなければ、生産専門のプレイヤーとして素晴らしいゲーム体験を得ることも可能です。




戦闘がしたい?それなら、戦士、魔法使い、剣士、賢者、ヒーラー――数え切れないほどのクラスから選べます。


友達とパーティーを組んで、ダンジョンや塔に挑戦することも可能です。


それでも興味が湧かない?ならば冒険者として世界を旅するのもいいでしょう。


何をしても自由、それがこの世界の魅力です!




しかしその前に、基本を一歩一歩学んでいきましょう。




キャラ作成が完了すると、あなたはランダムにどこかの町に目覚めます。


森の中かもしれない、浜辺かもしれない、あるいは小さな部屋の中かも――。


まず最初にやるべきことは、画面右下にある自分の名前を一度クリックすることです。


そうすることで、自分のレベルや体力、選択した職業やクラスを確認できます。




友達にフレンド申請を送りたい場合は、画面左の「フレンド」タブをクリックし、上部の検索ボックスでユーザー名を入力してください。


名前が表示されたら、そのプレイヤーをダブルクリックし、「フレンド申請」を選ぶだけでOKです。




また、左側にある「フレンド」タブの隣には「全体チャット」があります。


そこでは他のプレイヤーの発言を閲覧でき、自分も参加することができます。




疑問があるなら、以下に掲載されている「よくある質問(FAQ)」を参考にしてみましょう。




プレイヤーの質問コーナー




Q:NPCが他のゲームに比べてとても賢いのですが、普通ですか?


A:はい、普通です。本作のNPCはアップデートごとにどんどん知能が上がっていきます。プレイヤーにとって、NPCとの関わりが現実のような体験になることを目指しています。




Q:なぜこんなにも都市や国が多いのですか?広すぎて混乱してしまいます。


A:それぞれの街や国には、プレイヤーに探索してほしいという願いが込められています。




Q:このゲームではNPCと結婚できますか?


A:できます。このゲームでは「何でも可能」です。




Q:悪意のあるパーティーが存在します。彼らに罰は与えられないのですか?


A:与えません。このゲームでは全ての出来事を「経験」として見ています。悪が存在するからこそ、善も輝くのです。




Q:職人プレイヤーが世界市場ランキングの上位に入るには?


A:高品質なアイテムを作ることに集中し続けてください。星の評価が上がるごとに、あなたの知名度も上がっていきます。




Q:一部の職業やクラスのレベル上昇がとても遅いです。なぜですか?


A:それぞれの職業には個別の難しさがあります。それを乗り越え、成長していくのがこのゲームの醍醐味です。




Q:私はパロウニア市から始めたのですが、NPCとの会話がとても難しいです。他の都市でもそうなのですか?


A:はい。パロウニアは職人系プレイヤー向けの都市です。NPCとの会話難易度は職業やクエスト内容によって異なります。


他の都市も同様に、プレイヤーの成長次第でNPCとの関係性が変わっていきます。




Q:パーティーを作りたいです。どうすればいいですか?


A:自分の名前を長押しして、表示されたメニューから「パーティー作成」を選択してください。なお、パーティーを作るにはレベル20が必要です。




Q:モンスターがNPC並みに知的です。取引する際に本物の人間と交渉しているかのように感じます。これは正常ですか?


A:はい、モンスターも非常に賢く設計されています。一部の種族はNPCよりも賢い場合もあります。すべてがプレイヤー次第なのです。




Q:友人がゴブリンと同盟を結び、彼らの街に住んでいます。それって誰でもできますか?


A:可能です。このゲームに「無理」はありません。クエストを進め、努力を重ね、予想外の展開に備えてください。




Q:シナリオの進行度って、まだ2%なんですか?


A:はい、その通りです。




「うっ……」




正直、ここまで読んで頭がパンクしそうだ……。疲れもどっと押し寄せる。


それでも、今の私がいる都市が「パロウニア」であることは分かった。


でも、ひとつだけどうしても気になる。




自分のステータスを見ると、なぜか「HP(体力)」の数値が表示されていないのだ。




……まあ、それはまた後で考えよう。




何にせよ、ここまで情報を得られたのは大きい。


このゲームは本当に、私の想像を遥かに超えているみたいだ。

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