第11章 世界市場の扉と靴職人の夢

【「すごい剣を探しているのかい?それなら、ここにあるぞ!」


剣の性能:


スピード+12


パワー+45


敏捷性+30


魔法耐性 ― 火属性魔法に対して+10の耐性


入札開始価格:90ゴールド


入札をお待ちしています!


プレイヤー名:ゴブリン村のリーダー


取引評価平均:2.3スター】


コメント:


「このゴブリンには絶対に騙されないで!前に剣を買ったけど、受け取れなかった。詐欺だよ!」


【ユーザー:Maei8869】




プレイヤーだけじゃないのか……?


ワールドマーケットシステムって、種族を問わず使える仕組みなのか?


画面を下にスクロールしていくたびに、驚きが増していく。


なんと、自分の作った靴を、NPCの人間や他のプレイヤーだけでなく、ゴブリンやエルフ、オークにも売れるのだ。




これまでに見た商品たちは、評価が低かったり平均的だったり。


つまり誰でも売り手になれる自由なシステムということらしい。




画面の左上に、太字で目立つように表示されている「職業専門ショップ(職業プレイヤーのみ販売可能)」という文字が気になり、思わずタップした。




【ワールドマーケット職業ショップランキング】




[第1位:鍛冶屋マークの店]


従業員数:100名以上


エンブレム:赤鷹


評価平均:9.98スター




[第2位:本屋エイミーの店]


従業員数:10名以上


エンブレム:読書するフクロウ


評価平均:9.97スター




[第3位:鉱山師ルーカスの鉱山事業所]


従業員数:375名以上


エンブレム:灰色熊


評価平均:9.32スター】




すごい……!上位3店舗の評価の高さに思わず声が出そうになる。


特に、1位の鍛冶屋マークの店。噂通り、絶大な信頼を得ているようだ。




でも、それ以上に驚いたのは……2位が本屋だということ!


ゲーム内市場で、本屋が上位に入っているとは……。


プレイヤーのエイミー、一体どんな手腕でここまで登りつめたのだろうか?




他のランクを見ると、鍛冶屋、鉱山師、ヒーラーなどが入り乱れている。


正直言って、不安になる。


こんな高評価のプロたちと、どうやって肩を並べられるっていうんだ?




……とはいえ、自分はまだレベル1の初心者。


通知にあった通り、まずはNPCたちとの交流を深めて、少しずつでもレベルを上げていくしかない。




そして、いつかは――


自分だけの店を開いて、販売を始めるんだ。




「まだ痛みが残ってるの?本当に大丈夫?」


グレースの心配そうな視線で、我に返った。


……あぶない、完全に没頭して、グレースの声に気づかないところだった。




「これ以上迷惑をかけたくないから、そろそろ働いてる店に戻るね。師匠が待ってると思うから」]


「師匠?誰?それに君の職業って……?」


「トーマス師匠の弟子だよ。つまり、俺は靴職人さ」


「えっ!?君があの靴紐を完璧に結んでくれたの、そういうことだったのね!


私、トーマス師匠のこと大好き!新しい弟子がいるなんて知らなかった~!」


「はは、ありがとう」


「それじゃあ、玄関までお見送りするわね」


嬉しそうに目を輝かせながら、グレースは優しくドアの前まで見送ってくれた。




街の通りを歩きながら、周りを見渡す。


色んなプレイヤー、色んな種族……


――この先、どんな未来が待っているのだろうか?




「ダークギルド チャットルーム」














***














[No Name 1]


「襲撃を延期するかもしれない」




[No Name 3]


「えっ?どうして突然?」




[No Name 4]


「せっかく準備したのに、全部無駄になるのかよ?」




[No Name 9]


「いや、気づいてないのか?


準備は万全でも……ヒーラーが足りないんだ」




[No Name 10]


「でもさ、俺たち今までヒーラーなしで襲撃成功させてきたじゃん?」




[No Name 1]


「今回は違う。


今回の作戦はゲームの歴史に残る大規模な襲撃になる。


最高のヒーラーをチームに迎えないと無理だ」




[No Name 7]


「……いや、それよりも大問題がある。


今回狙う都市の最強NPC『城の守護者メアリー』が、


王の任務を終えて戻ってくるらしい」




[No Name 1]


「……なに?それ、本当なのか?」


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