実家暮らしの最強ダンジョン配信者~毎日通っていた実家の庭のダンジョンが魔境だったらしいことが、死にかけの美少女S級ダンジョン配信者を助けた時に判明したのだが~

リヒト

第一章 特定冒険者

幼馴染

 新城高等学校。

 それが僕の通う高校名だ。偏差値は50で、校内の部活動も強くも弱くもない普通といった感じ。そんな平凡としか言いのない普通の公立高校が僕の通う高校だった。

 普通と違うところなんて、たった一点くらいだ。


「……お前、いい加減に僕の部屋にまで来て起こしに来るの辞めろや」


「えー。何でよぉ?」


「時間が速いんだよ!僕はもっと寝ていたんだよ!」


「仕方ないじゃない。私は朝に委員会でやらなきゃいけないことがあるんだもの」


「別に僕は僕で勝手に高校行くから、わざわざ起こしに来ないで一人で学校行ってよ」


「でも、そしたら今度は貴方、遅刻がちになるじゃない?なら、早く来た方がいいに決まっているじゃない」


「お前がそんな心配することじゃないでしょ」


 そんな高校へと僕は自分の隣に立つ少女と共に高校へと向かっていた。

 彼女の名前は星野玲奈だ。実家でも繋がりのある幼馴染である。


「もー!こんな美少女である私に起こされ、何が不満だというの?」


「へぇ、へい。そうですかぁー……美少女ねぇ?」


「何よ!その反応!何処をどう見ても私は可愛いでしょう?」


 横目で見る彼女は、本当に美しい。

 

「はぁー」


 だからこその、困ったこともあるわけだが。

 深く艶のある黒髪は肩までまっすぐに伸びており、風が吹くたびに柔らかく揺れている。前髪は目にかからないように整えられ、額のラインを上品に縁取っている。

 黒目がちな瞳は、まるで夜空のように澄んでいて、見慣れているはずの僕であってもドキリとするほどの吸引力がある。

 長い睫毛に縁どられたその瞳は、知性と優しさをたたえ、言葉を発さなくても彼女の心の機微が伝わってくるようだ。

 肌は陶器のように滑らかで透明感があり、頬にほんのりと紅がさしている。制服はきちんと着こなし、白いシャツの襟元やスカートのプリーツには清潔感と品格が漂う。背筋を伸ばして歩くその姿には、年齢以上の落ち着きと品があり、自然と周囲の視線を集めている───そう、集めやがるのだ。この絶世の美女とでもいうべき彼女は。

 

「もぉ~、こんな可愛い私が隣にいるのにため息を吐くなんて……信じれないなぁ?」


「うっさいよっ!」


 彼女が視線を集めれば集めるほど、浮き彫りになるのはその隣を歩く冴えない僕の存在だろう。

 色々なやっかみが僕の元に来るのだ……こいつのせいでなっ!


「そんなこと言わないの……ねっ?」


 色々と言いたいことのある僕に対し、玲奈はいきなり僕の肩へと腕を回してくる……近づいてきたせいでふわっといい香りが漂ってきたのまで含めて腹立たしいな。


「もうクラスに着くぞ。お前は仕事があるんだろ。さっさと行けや」


 僕は玲奈が背負っているリュックを強奪しながら、彼女の元から離れる。

 ダラダラ登校の道を歩いていれば、もう自分たちのクラス、2ー13組の教室の前にまで来ていた。


「机の上へと雑に置いておくよ」


「うん!ありがと!それじゃあ、私は委員会の方に行ってくるね!」


「はーい。いってらっしゃい」


 僕は玲奈を見送り、そのまま彼女の席に向かってそこに彼女のリュックを置く。


「ふぅー」


「よぉ。今日もずいぶんなご登校だったなァ?小鳥遊継太くん?」


 そして、自分の席について一息ついたその瞬間、自分の後ろから僕の名前をフルネームで呼ばれる。


「……何?」

 

 僕が後ろを振り返れば、そこにいるのは三人の男たちだ。

 

「今日も随分と玲奈と仲良さそうだったなァ?冴えない男であるお前が」


 三人の男たちの中で一番主導的な男、有馬隼人は僕へとガン飛ばしながら真正面にこちらを罵ってくる。


「……」


「まったく、月とすっぽんとはお前と玲奈の為にあるかのような言葉だとは思わないか?THE・陰キャとでもいうべきお前がああして毎日のように玲奈と一緒にいるなんて。お前、いい加減わきまえるべきじゃねぇのか?玲奈に縋って……恥ずかしいと思わねぇの?いい加減玲奈の方も」


 お前らが玲奈の何をわかるねん……別にそこまで仲良しってわけでもないやろ。お前らは……所詮、クラスの1.5軍とでもう呼ばれるような立場だろうが……っ。


「……」


 不本意なことに彼ら三人は僕のクラスメートだ。

 僕がクラスのアイドルでもある玲奈と一緒にいることが多いことを不満に思い、こうして喧嘩を吹っかけてきているのだ。

 クラス内で堂々と行われているこの行為だが、何であいつが玲奈と?と思っている人は結構多く、自分の味方になってくれる人はいない。思ってくれそうなキラキラの陽キャの前では決してやらないのも隼人の特徴だ。


「……」


 クソ陽キャな玲奈と違い、僕はクソ陰キャ。

 今の僕がこいつらに歯向かったところでSNSに晒されるような無様を晒すだけだ。あいつらが1.5軍とすると、僕は何だろうね?4軍、5軍とでもいうべき悲しき立場だ……大人しく、黙っているのが一番だ。


「はぁー?何も言い返してこねぇのか。つまらない男だなァ?」


「……」


 玲奈のいないところだけで行われる堂々とした虐め。

 それを僕はただスマホを眺めるだけで受け流すのだった。

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