第11話 魂を賭けた対話──セレフィーナ vs 滅神の剣



 


魔剣まけん《グリム=アポカリュプス》がるわれるたび、そらけ、大地だいちくずれる。


 


その中心ちゅうしんで、セレフィーナはけんにぎめ、さけんだ。


 


「ルシアス!! あんたを“滅神めっしんうつわ”なんかに、させはしない!!」


 


ルシアスのかんでいたのは、狂気きょうきではなかった。


まよいでも、いかりでもない──ただ、覚悟かくご


 


(このちから使つかえば、神々かみがみえられる。

 だが、その代償だいしょうは──おれという存在そんざいそのもの)


 


『いいのか、ルシアス。おまえは、このまま“ひとであること”をてるか?』


 


魔剣まけんグリムがささやく。

そのこえは、誘惑ゆうわくのようでありながら、どこかかなしげだった。


 


(……わかってるさ。だがおれは、この世界せかいに……“わり”をあたえなきゃいけねぇ)


 



 


セレフィーナがける。

全身ぜんしんから魔力まりょくはなち、神界しんかい地表ちひょうり、そらう。


 


「ルシアス、おもして!

 あのよる、あんたがってくれたでしょう!?

 “おれはこの世界せかいしんじたい”って!」


 


剣戟けんげき魔力まりょく奔流ほんりゅう

だが彼女かのじょはただ、るためではなく、おもいをつたえるためにけんるっていた。


 


わたしはあんたを、英雄えいゆうだからきだったんじゃない……!

 “人間にんげんのルシアス”が、よわくても、きずだらけでも、それでもだれかをまもろうとしてた、そのこころが──好きだったの!!」


 


──ガキィィィン!!


 


その一閃いっせん滅神めっしんけんと、王女おうじょけん正面しょうめんから衝突しょうとつする。


 


はげしい衝撃波しょうげきは空間くうかんき、時間じかんすららいだ。


 


そのなかで──ルシアスのが、ふるえた。


 


「……なぜ、まれないんだ……おれは、もう……」


 


まっていいのよ! まるために、あたしはここにいるの!」


 


セレフィーナがさけぶ。

やいばではなく、言葉ことばで、こころれようとして。


 


「ルシアス。もう一度いちどだけ……“人間にんげんとして”きて!

 かみじゃなく、英雄えいゆうじゃなく、“あなた自身じしん”として!!」


 



 


グリムのこえしずかにひびいた。


 


『……えらべ。ルシアス。

 “かみほろぼすもの”としてきるか、

 “ひととしてのたましい”をのこすか』


 


ルシアスのひとみじられる。


 


そしてつぎ瞬間しゅんかん──


 


「……こたえは、最初さいしょからまってた」


 


かれは、けん地面じめんてた。


 


おれは、かみにも、世界せかいにも、もうまわされねぇ。

 “おれ意志いしで、このけんるう”」


 


──魔剣まけんグリム=アポカリュプスが、しずかに沈黙ちんもくする。


 


『そうか。……ならばともちよう、“英雄えいゆう”。

 最後さいご瞬間しゅんかんまで、おまえ意志いしともろう』


 


神界しんかいに、かぜく。


死闘しとうまり、運命うんめい歯車はぐるまが、しずかにふたたまわす。


 



 


セレフィーナがちかづき、ルシアスのほおばした。


 


「おかえり、ルシアス」


 


「──ただいま」


 


つづく

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