第6話 裏切りの神像と、氷華が舞う夜



 


虚無神像きょむしんぞうアト=カリウス》。

それは、信仰しんこうらい、意志いしうばう“かみから”──。


 


「くそっ……ものが!」


レオナードのけんひらめき、神像しんぞうむねく。

だが、きずふさがり、ぎゃくひかり奔流ほんりゅうはなたれた。


 


「っ……ぐあっ!」


 


地面じめんたたき》つけられたレオナードに少女しょうじょ姿すがたがあった。

イリーナ・クロイツフェルト──裏世界うらせかい令嬢れいじょう


 


「レオ様! 下がってください!」


そのには、くろ魔導具まどうぐ

魔力まりょくいと空間くうかんひろがり、かぜふるわせる。


 


「……このまちは、わたくしがまもります。

 ルシアス様、《こおり魔女まじょ》の魔力まりょくを!」


 


「……いい度胸どきょうだな、ちび」


レイラが微笑ほほえみ、銀髪ぎんぱつらす。


「おのぞみどおり、くわよ──《氷葬結界ひょうそうけっかい第四層だいよんそう》!」


 


そらこおりつく。

神像しんぞう足元あしもとから、無数むすう氷柱つららし、虚無きょむかみめていく。


 


いまだ、ルシアス!」


 


おれけんにぎなおし、一歩いっぽす。


 


(これは“決着けっちゃく”じゃない。これは“はじまり”だ)


 


らいやがれ──《神滅剣技しんめつけんぎ・終ノしゅうのかた──天裂てんれつ》!」


 


てんけてげたけんが、世界せかいそのものをく。

巨大きょだい神像しんぞうむねに、深紅しんく亀裂きれつはしった。


 


──ズン……ッッ!!


 


おともなく、くずちる神像しんぞう

静寂せいじゃくが、辺境へんきょうまちつつんだ。


 



 


「……わった?」


イリーナが呆然ぼうぜんくす。


「いや──まだはじまったばかりだ」


 


レオナードががる。

血塗ちまみれのかおに、微笑ほほえみがかぶ。


 


「ルシアス……やっぱりおまえは、おれつづけた“英雄えいゆう”のままだった」


勘違かんちがいすんな。おれ英雄えいゆうなんかじゃねぇよ。

 “いま世界せかい”が、そうさせただけだ」


 


レイラが微笑ほほえみ、かみでる。


「ふふ……でも、やっぱりあなたは“見逃みのがせないおとこ”だったわね」


 


三人さんにんが、久々ひさびさに“かつての距離きょり”にっていた。


──だが、そのなごやかな空気くうきを、くだくように一通いっつうしらせがとどく。


 



 


報告ほうこく王都おうとにて、《第一王女だいいちおうじょセレフィーナ》が謀反むほん──王国おうこく分裂ぶんれつ開始かいししました!」


 


「……は?」


 


「どうやら“あのおんな”も……うごしたようね」


レイラがけわしい表情ひょうじょうかべた。


 


「ルシアス。つぎは、王都おうとね。

 “彼女かのじょ”は、あんたがてた“未来みらい”の象徴しょうちょうよ」


 


──再び、伝説でんせつあゆす。

つぎたたかいは、もっと個人的こじんてきで、もっとけられないたたかい。


 


つづく

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