2024年1月13日 ②
僕の質問が終わると、康平さんは「お願い、頼むね」とだけ言い残して、すぐに店を出ていった。残されたのは、僕と玉川、それにテーブルの上に置かれた一万五千円だけだった。
けれど、僕は何も頼む気になれず、ただ時間だけが流れていった。
「……」
「……」
玉川も僕も、黙ったまま。他のテーブルの笑い声だけが空気を揺らし、僕たちのテーブルの上だけ、時間が止まってしまったかのようだった。
まるで、世界から僕らだけが取り残されたような気がした。
僕は、武田さんのために何ができるのかを考え続けていた。
玉川が何を思っていたのかは、最後までわからなかった。
その後も、会話らしい会話は交わさずに、僕たちは自然と解散した。
「お帰り。最近、飲みから帰ってくるの早いわね」
家に帰ると、母が笑いながら言った。父は何も言わなかった。
僕は乾いた返事をして、そのまま二階に上がった。
家に戻っても、僕の心は置き去りにされたままだった。
二階に上がってからも、頭の中では今日の交わされた言葉が何度も繰り返されて、さらに遠くへ置いていかれるような気がした。
その気持ちを、湯気でごまかすように風呂に入った。
眠ろうと準備をして、ベッドにもぐり込んだが、まぶたはなかなか重くならなかった。
けっきょく朝まで、僕は眠れなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます