雪が降る日に、君と出会った

増井 龍大

2025年12月25日 ①

 2025年12月25日。

 今の時間は13時5分。空は曇っている。


 僕は、正門前の大きな木の下のベンチに座り、古びた文庫本のページをめくっていた。


 大学は冬休みに入り、周囲に人の気配はない。耳に届くのは、紙が擦れるかすかな音だけだ。


 この本を読むと、あの冬の日を思い出す。


 僕はここで人を待っている。二年前に交わした、ある約束を守るために。

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