ランとナナと きらきら森のひかり

Algo Lighter アルゴライター

1. はじまりの森

 あるところに、やわらかな光がさしこむ、ふしぎな森がありました。

 森の中は、いつも葉っぱのあまいにおいと、小さな生きものたちの声でいっぱいです。


 みんながまだ夢のなかで眠っている、あさのしずかな時間。

 しっとりとした土のにおい、そよそよとゆれる木の葉。

 森の奥に、小さなランプがひとつ、そっと目をさましました。


 そのランプの名前は「ラン」。

 ランは、まだだれもいない森を、じっと見つめていました。

 ちいさなガラスのおなかに、ふわりとあたたかな灯りをともして。

 「おはよう、森さん」とランは小さな声でつぶやきます。


 すると、木々のあいだから、ひかりがひとすじ差し込んできました。

 朝の光が、森をやさしく包みこみます。

 ランは自分の灯りと、森のひかりがいっしょにきらめくのを、うれしそうに見つめました。


 鳥たちはまだ静かに、枝の上で丸くなっています。

 けれど、少しずつ、森に命の気配が満ちてきます。


 「今日はどんな一日になるのかな?」

 ランの胸は、なんだかドキドキしてきました。

 森の中で、新しい何かが始まる、そんな予感がして——

 ランはそっと、森の奥へと歩き出しました。


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