第14話 駅
そして日曜日。俺たちは
だが、相良たちサッカー部の試合もちょうどそのイオンモール横のサッカー場で行われるらしく、試合後に合流するならむしろここが理想的だった。なので、徳淵美柑も俺たちと一緒に行くことになった。
俺と植田は先に駅に到着し、女子たちを待っていた。そこにちょうど美柑がやってくる。
「あれ? 早いね」
「おう、美柑。制服か?」
植田が言う。休日だというのに美柑は今日も制服を着ていた。
「うん、部活の応援だから無難に制服。あ、私服見たかった?」
「友達の彼女の私服に興味ない」
「ひどーい!」
そんなことを言っていると、高田有佐と麦島奈保美が来た。高田さんは白いワンピース、麦島さんはデニムのロングスカートだ。
「待った?」
高田さんが植田に言う。
「いや、そうでもないぞ」
「萩原君、おはよう」
麦島さんは真っ先に俺に声を掛けてきた。
「お、おはよう」
「え、まだ緊張してる?」
「う、うん。その……麦島さんの私服、初めて見たから」
「ああ、そっか。どうかな?」
「うん、似合ってる」
「ありがと」
「……そんなこと私に言ったこと無かったよね」
高田さんが俺に言ってきた。
「い、いやあ……高田さんも似合ってるよ」
「高田さんも、かあ。萩原君、私のこと好きなんじゃなかったっけ?」
「そ、それ、ここで言う?」
「あ、ごめんごめん。だって、奈保美にばっかり優しい感じだから。あのときは私に告白してくれたのになあって思っちゃって……」
「……うん、今も好きだよ」
俺は思わず言ってしまった。
「え!? そ、そうなんだ……ありがと」
高田さんの顔が赤くなったような。少しは意識してくれたかな。
「なんだ、萩原。モテモテだなあ」
植田がからかってくる。
「何言ってるんだよ」
モテモテどころか振られてるんだからな。
「俺は美柑と先行ってるぞ」
「うん、柳治君行こう!」
美柑が植田の手を取った。
「お前、いいのかよ、俺と手なんてつないで」
植田が美柑に言う。
「これぐらいはいいでしょ。有佐と奈保美を見てたらなんかうらやましくなっちゃって。柳治君、ちょっと彼氏の代わりやってよ」
「相良に言いつけるぞ」
「そこは内緒で。お互い楽しもうよ、ね?」
「まったく、しょうがないやつだな」
そのまま2人で手をつないで行ってしまった。
「じゃあ私たちも行きましょうか」
麦島さんが俺の手を取る。俺は麦島さんに手を引かれて改札に向かった。
「ちょっと、奈保美。危ないでしょ」
そう言って高田さんがもう片方の俺の手を握った。
おいおい、両手に花かよ。そう思ったら麦島さんは俺の手を離した。
「ふふ、有佐、嬉しそう」
「な、何よ」
「今日は楽しんで」
「奈保美もね」
俺たちは改札の中に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます