第4話 パソコン熱
翌日の昼休みから、俺たち6人は一緒にお昼を食べるようになった。すなわち、俺と植田柳治、サッカー部の相良道男とその彼女の徳渕美柑、そして、高田有佐と麦島奈保美だ。
クラスの美女と、イケメン植田、それにサッカー部のエース・相良が居るグループと言うことで、俺たちのグループはまさにクラスの中心のようになった。そこに俺が居るのは場違いな感じがしたけどな。
そして、高田さんはパソコンを持ってきて、俺にいろいろ聞いてくるようになった。
「萩原君、なぜかここでエラー出てて……」
高田さんはゲームを自作する本を読みながら自分で簡単なゲームを作ろうとしていたが、本が少し古いこともあってエラーが出ていた。
「これか……少し調べてみるよ」
「わかった、ありがとう」
俺もすぐには分からないので、調べて後で答えることが多い。
翌日の朝、俺は高田さんに言った。
「あのエラー、たぶん分かったと思うよ」
「ほんと? どうやればいいの」
「ライブラリを少し古いバージョンに戻せば……」
俺は高田さんのパソコンを操作し、エラーが出ない状態にした。
「あ、動いた!」
「よかった」
「ほんと、萩原君、ありがとう。今度お礼するね」
高田さんは自分の席に向かった。
◇◇◇
昼休み、6人で居ると、麦島さんが愚痴を言った。
「最近、有佐がパソコン触ってばっかりで私に構ってくれないわ」
「そんなことないでしょ」
「あるよ。萩原君と再会したせいでパソコン熱がよみがえっちゃったみたいね」
「それはあるかも」
そうなのか。
「お前達はもう付き合い長いのか?」
植田が麦島さんと高田さんに言う。
「そうね、小学3年からだっけ。もう長いね」
高田さんが言う。それに麦島さんが説明を加えた。
「私と有佐は変わり者の女子だったのよ。私は本ばかり読んでるし、有佐はパソコンとかゲームが大好きだし。女子の中では浮いた存在だったからお互い仲良くなった感じね」
「へぇ、そんな二人が今ではクラスのアイドルか」
相良が言った。
「別にそんなんじゃないわよ。でも、確かに有佐は綺麗になったわよね」
麦島さんが言った。
「奈保美だって、そうでしょ。お互い、中学ぐらいから女の子らしくなったよね」
「うん。有佐はすっかりパソコンとかいじらなくなったって思ってたんだけど」
「家ではたまに触ってたんだ。萩原君と再会してまた面白くなってきちゃって……」
「ほどほどにしてよ」
「いいでしょ、情報の授業にも役立つし。あ、奈保美も一緒にやる?」
「私は遠慮しとく」
麦島さんは興味が無いようだ。
「有佐はパソコンにお熱だし、萩原君にもお熱って感じ?」
美柑がからかってきた。
「え? 萩原君とはそういうのじゃないよ。小さい頃から知ってるし」
「でも、久しぶりの再会で、嬉しかったんでしょ?」
「そうだけど……」
「美柑、からかうなって」
俺は思わず言った。確かに仲良くはなったが、高田さんが俺みたいなやつを好きになったりはしないだろう。
「ごめんごめん、だって、有佐が最近、楽しそうだから」
「そうかな……でも、そうかも。毎日楽しい!」
高田さんはそう言って笑顔を見せる。まぶしい笑顔だ。
「あー、萩原のやつが見とれてるぞ」
相良が言った。
「え?」
「お、おい……変なこと言うな」
俺は相良に言い返す。
「別にいいだろ。本当のことだし」
「だとしても言わなくていいから」
「え、ほんとに見とれてたんだ」
高田さんが俺に言う。
「ちょ、ちょっとな」
「へー、萩原君が私に見とれるなんて少し嬉しいかも。子どもの頃は男の子みたいって思われてたのに」
「そうだけどさ……」
「アハハ、ごめんごめん」
高田さんはこんな感じで昔のことをよくからかってきた。だけど、俺にもタカちゃんの思い出は大事なものだったし、そんな共通の思い出を持つ高田さんと仲良くなりたい、という思いは日々強くなっていった。
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