第14話春のパレード②

「まあ ハイジさん あの時は魔物から助けて頂いてありがとうございました」メリルが言うが

「ごめんなさい シリウス兄ちゃんからも聞いたけど 魔物や盗賊から助けた馬車は沢山いて 誰を助けたとかあんまり覚えてないの」バツが悪そうに言うハイジ

「そうでしょうね でも やはりあの時のお礼をさせて下さい お望みの物があれば言って下さいませ 名ばかりですがこれでも一国の王女ですので」ハイジの手を握り見つめるメリル

暫く考えた後

「分かったわ じゃあ あたしと友達になってくれる? もちろんアリアもよ」そう言って二人の顔を見るハイジ

「「もちろんですわ!!」」ハイジの手を握り頷くメリルとアリア

「「ハイジ ずるーい 私達とも友達になってくれる?」」

御者台に乗ったクラリスとチェルシーが後ろを振り返って大声で

馬車の中に向かって言うと「「はい!!」」二人は窓から手を出してクラリスとチェルシーと握手をする


大使館前に到着すると 玄関前に立つ男がクロノスの馬車に近づき「クロノス すまねえ 後二日程くれないか? どうしても納得いかねえ個所があって」国王にため口なんて この人もクロノス王の身内なんだろうか?メリルが考えていると

「こいつは エドっていって 昔ながらの友達なんだ 腕のいい大工だから大使館建設を任せていたんだよ」

「じゃあ 先に農園と牧場を見に行こうか?」そう言って馬車から降りて歩き出すクロノスとマリアート

メリルとアリアも降りてチェインズの三人と一緒にワイワイと喋りながらクロノスの後をついて行く


「ここだよ」クロノスに言われたのはメリルの背丈ぐらいの柵が遠く山の麓まで作られた牧草地帯と色々な種類の苗木が植えられた果樹園 耕された畑であった

「何を育てていたかシリウスに聞いて 果樹園には苗木だけ植えといたよ 畑はメリルさんの好きな物を育ててくれ 向こうの方に動物達の水飲み場を作ったら湧き水が出て来てね 湖ぐらいの大きさになってしまったよ」笑いながら言うクロノス

「じゃあ 湖まで競争よ!!」

ハイジの一言で女の子達が走り出す

微笑ましく見ていたシリウスが急にフェンリルになり

「ノエルさん 乗って!!」ノエルを乗せて走り出し ハイジ達の前に立ちはだかる

「どうしたの シリウス兄ちゃん?」ハイジが驚いて声を上げる

「空を見てみろ」シリウスに言われて空を見ると二頭の竜が旋回している

「「何 あれ?」」ハイジ達が驚いていると 二頭の竜は地上に降り立ち

緑色の竜がメリルの前で頭を下げ

「私は緑竜と申します 私の加護を与えておきながら辛い日々を送らせて申し訳ない」

「私は水竜と申します 同じく加護を与えておきながら辛い目に遭わせてごめんなさい」

水色の竜がアリアの前で頭を下げる

「「これからは従魔として お守りさせて頂きますので 何卒契約をお願い致します。」

二頭の竜が鼻先をメリルとアリアの前に近づけて来る

「えっと 契約ってどうすればいいの?」メリルが困惑しながら言うと

「名前を付けて頂ければ 契約になります」言われて

「そう じゃあ あなたはミドリって名はどう?」

「良い名前ですね ありがとうございます」


「私にもお願い致します」水竜がアリアに言うと

「ミズキでどうかしら?」アリアに鼻を擦りつけて

「ありがとうございます 素敵な名前です」アリアに鼻を撫でられながら嬉しそうにしている

「珍しいね 君達古龍が従魔契約だなんて」追いついたクロノスが言うと

「何を仰います 貴方様は黒龍を従えているではありませんか」ミドリが言い

「そうそう シリウス様とノエル様には私の友達の氷竜を助けて頂いたそうで ありがとうございます」ミズキが話に割って入り

結局クロノスの質問はうやむやになる


大使館が出来るまでは メリルとアンナは旅団の部屋に泊まる事になり

女性陣は揃って風呂に向かった 帰ってきたところでコルテの店に行き

シリウスも 調理場に入り海の幸を料理する

マルラス国は海から離れており 海の魚介類は珍しいかなと思い何品かを出してみる

「「まあ!! これは何ですの?」」焼いた貝や海老 料理された大きな魚を見て二人は声を上げる

「これは海で採れた魚介類だよ 口に合うといいけど」

大きな魚の塩焼きを恐る恐る口に入れて顔を輝かすメリル

「まあ 美味しいですわ アンナも食べてごらんなさい 全然泥臭くないから」言われてアンナも食べると「本当ですね お姉様 こんな美味しい魚初めて食べました」興味を持ったのか貝や海老にも手を伸ばし 美味しそうに食べていた

食事も終わり旅団本部の部屋でノエルさん 母ちゃん 父ちゃんと寛いでいると ドアがノックされ メリルとアンナが部屋に入ってきた

「あ あの・・・母ちゃんさん ハイジから言われたんです 長旅から帰ったら お風呂に入ってコルテさんの店で食事をして 母ちゃんさんに潜り込めば直ぐに疲労が取れるって 私とアンナを尻尾に潜り込ませていただけませんでしょうか?」メリルが一番大きなフェンリルの母ちゃんに言うと

「構わないよ 好きなだけ潜るといいさ それと 母ちゃんでいいよ さんは付けなくていいからね」答えると

「マナーは守ります」と言って二人共脱ぎ始め 服を椅子の上に畳んで マッパで母ちゃんに潜り込んでいく マッパはマナーなのか?

「ああー ハイジ達の言ってた通りだわ」「まるで雲の中にいるみたいね お姉様」

はしゃぐ二人に 俺の尻尾から顔を出したノエルさんが

「そうだろ そうだろ やはり裸で潜り込むのが一番いいのさ」自慢げに言う

ノエルさんと少し喋った後 二人はスースーと寝息をたて眠りに落ちたようだ

深夜に「お母様・・」呟いて眠りながら涙を流すアンナに気付き

母ちゃんが(シリウス)と念話を飛ばす

(大丈夫 もう手はうってあるよ)念話を返し 俺達も眠る











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