第21話

「痛いんですが」


 レイスティーが不満気な声を上げるとコーネリオは弾かれたように手を離した。


「すみません。痛かったですか」


 コーネリオは一度立ち止まり、レイスティーに謝罪する。


「一体、どうしたんですか?」


 レイスティーはコーネリオに訊ねる。

 その赤い瞳に苛立ちが滲み、コーネリオはたじろいだ。


「彼には近付かないで下さい」

「どうしてですか?」

「どうしてもです」


 バンスに近付くなというコーネリオの言葉にレイスティーは言う。


「答えになっていません」


 何故、一歩的にそんなことを言われなければならないのかと、レイスティーの目が訴えている。


 レイスティーの中に自分に対しての不信感が募っている。

 それが苛立ちに変わり、声に現われていた。


「言うことを訊いて下さい」

「理由がないのであれば承服しかねます。私はもうあなたの部下ではない」


 レイスティーの口調が強くなり、コーネリオの言葉を突き放す。


「レイスティー、お願いです。私の……」

「捜査には協力します。ですが、あくまで任意で協力している一般人であることをお忘れなく」


 私はもうあなたの部下じゃない。


 レイスティーはそれだけ言い残してそれだけコーネリオに背を向け、早足で歩いて行ってしまう。


 真っすぐに伸びた背中をただ見つめることしかできないもどかしさに胸が軋んだ。




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