第4話
明るい木目の長方形のテーブルに並んだ昼食は予想通り、トマトのパスタとヒュート特製ドレッシングがかかったサラダだった。
レモンと塩をベースに作られたドレッシングはレイスティーのお気に入りでトマトにもレタスにも合うし、これがあれば苦手な人参も生で食べれる。
ユハンとヒュートと三人で食卓を囲み、仕事の話や雑談をしながら賑やかな昼食を取る。
「レティ、午後は薬草を採ってきてくれないか? 患者が多くて魔法薬の材料が足りなくなりそうなんだ」
レイスティーはパスタを口に運びながらヒュートの言葉に頷く。
連日の豪雨で外に出られなかったため、薬草の採取が間に合っていないのだ。
豪雨の最中は患者はほとんど来なかったし、やることもなくて暇だったが、その反動が来ている。
来院患者が多ければ、使用する薬も多くなるので足りなくなるのは仕方がない。
「もちろん。じゃあ、食べたら出掛けてくるよ」
「地面が濡れて滑りやすいから気を付けるんだよ」
「はーい」
この町は山の麓に位置しており、雨が多く、冬は寒くて雪が多い。
随分暖かくはなってきたが、季節は春だといっても窓から見える山の上は白い。
窓の外は珍しく雲一つない青空が広がっているが、この快晴もいつまで持つか分からないのがこの町の厄介なところである。
レイスティーは女心のように変化の激しい山の天気を危惧し、準備を済ませて出掛けることにする。
「これ採ってきてくれ」
「あいよ」
ヒュートから薬草のリストを受け取り、カゴを持つ。
履き慣れた編み上げのブーツを履き、服装は寒いので内側に着こんで厚手の上着を羽織る。
「道が悪いから無理しなくて良いぞ。山の上はまだ寒いからな」
「分かった」
薬草リストには山の中腹にしか生えないものもあった。
今から山に登れば一時間ちょっとで着くが、道が悪ければ当然時間がかかる。
「それから、不審者情報がある。気を付けろよ」
暖かくなると不審者や変質者の出没が増えるのはどの町も共通らしい。
「心配しなくて良いよ。これでも元騎士だから」
何なら薬草採取よりも不審者見つける方が得意かもしれない。
「違う。不審者見つけて掴みかかって負傷させないように気を付けとって話」
「私の心配じゃないんかい」
ジト目のレイスティーにヒュートは大真面目な顔で深く頷く。
怪我人を増やすな、とヒュートは言外に告げられたレイスティーは釈然としないまま家を出た。
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