ダンジョンが出来た世界での平凡ライフ

@kagetusouya

第1話 ダンジョン捜索者ギルドと捜索者

冒険者ギルド日本本社

そこでテーブルに腰かけた俺と4人の冒険者が会話をしている。

「それではこちら依頼料になります、これまでありがとうございました。」

そういって俺と同じテーブルに座る男女4人は頭を下げる。

依頼でパーティを組んでいた彼等とは今日でお別れだ。


「ああ、君達が優秀だから思ったよりも早く終わったのに満額もらっていいのかい?」

俺はそういってこれまでPTを組んでダンジョンに潜っていたPTレモングラスに尋ねる。

最初聞いた時は何でレモングラス?と思ったがダンジョンに潜るPTが多くなりPT名に困る時代ですからと苦笑を浮かべながら言われたのは1週間前だ。


俺は特別なジョブについていてレベルが上がりやすくなる代わりにドロップアイテムの質が悪くなるというスキルを持っているのでたまにレベル上げを速めたいというPTから参加を求められることがある、その際に依頼領を取るかわりに一次的にPTに加入するのだ。


「はい!おかげで全員新しくスキルを得られるのでこれから相談して何を取るか考えようと思います!」

そう言って嬉しそうに微笑む彼等をまぶしいものを見るように目を細めてから、それじゃあと席を立ってテーブルを離れる。

最後にもう一度ありがとうございましたと頭を下げる彼等から離れながらいいPTだったなと思いながらギルドのカウンターへと一人向かう。


冒険者ギルド、今から50年前に突然現れたダンジョンに潜りモンスターを倒すとレベルという概念がモンスターを倒した人に現れる。


これは単純にレベルが1つ上がるごとに身体能力が1割程度上がり、5レベルごとにスキルを1つ取得できる。

10レベルまで上がれば2倍の身体能力を手に入れられるのだが、そうなるとレベルを持たない人間と持つ人間で能力が違いすぎて犯罪を裁くことすら難しい。

そう言った人間を捌くために冒険者ギルドには独自の権限が与えられ罪を犯した冒険者を処分も冒険者ギルドが決めることが出来るそんな怖い集団だ。


「お疲れ様ですはじめ様、依頼無事に終わらせることが出来たようですね。」

冒険者ギルドの受付カウンターへと向かうとそこで受付の女性が俺にそう声をかけてくる。

俺達冒険者というよりもレベルを持つものは冒険者ギルドを出て一般社会に戻る前に冒険者ギルドのカウンターへと報告に行く義務があり、そこでレベルによる能力アップとスキルの効果を抑制するアクセサリーを起動させる義務があるのだ。


「お疲れ様です、2日くらいは休もうと思っているので能力抑制リングをお願いします」

俺がそういうと受付の女性はトレイに乗せてリストバンドを差し出してくる


「冒険者全員がはじめさんみたいにちゃんとリストバンドを受け取りに来てくれれば私達も楽なんですが」

はぁとため息をついて周りを見渡す、確かに能力が大きく落ちることで普段の生活でも体が重くなるのでつけたくない気持ちは判るがさすがに地上で高レベルの身体能力を持ったままでいるのは逆に気を使わなくてはいけなくて面倒というのが俺の意見だ。

緊急時にはボタン一つで下げていた能力を開放することもできるしね


「それじゃあ、失礼しますね」

リストバンドに腕を通しボタンを赤いボタンを押すと体がぐっと重くなる感触があるがすぐになれる。

そのまま受付に背中を向けるとドアから外に出て、深く深呼吸をする。

ダンジョンと同じ空気のはずだが、なんだか外の空気とダンジョン内の空気では味が違う気がして深呼吸をすることで精神を切り替えることが出来るのだ。


ドアから少し離れたところで周りを見ればコンクリートで舗装された道路にビルが山の様に立っており、道路にはたくさんのトラックや乗用車が走っている。

ダンジョンが出来る前から生きてきた人からするとダンジョンというファンタジーともともと生きてきた科学が合わさっている現状が不思議だという声もあるが生まれつきダンジョンがあった俺達からすると普段通りの光景だ。


「武器の手入れをお願いして、晩御飯の材料をスーパーで買って帰ろうかな」

しばらくPTを組んでダンジョンに潜っていたのでまずはギルドの近くにある武器防具の店へと向かう。

店へと入ると剣や槍といった刃物がついた武器が並びアメリカの商店のように頑丈な壁の鉄格子のついたカウンターの向こうに座る店主に話しかける。


「武器と防具の修理をお願いしたいのですが出してもいいですか?」

俺は武器や防具の入ったアイテムボックスを取り出して店主に見せる。

このアイテムボックスというのもダンジョンが出来た後に研究されて作られたものであり煙草の箱くらいの小さな箱に3m程度の長さのものなら複数個入れることが出来るという便利な箱だ、ただし重さはそのままの為ゲームや漫画の何でもぽいぽい放り込んで持ち歩けるような便利なものではない。

さらに一度アイテムボックス内のアイテムはギルドかダンジョン、もしくは許可された建物内でしか出すことが出来ないため街中で武器を使って暴れることができないようにと配慮されている。


「おう、武器を出しな物によっては数日かかるがいいな?」

「はい、大丈夫です、これです」

俺はアイテムボックスから武器を出す許可をもらったので中から愛用のモーニングスターとタワーシールドを取り出して渡す、ちなみに言葉だけではなくボタンのようなものを押して俺のアイテムボックスの使用許可をしているらしい。


「鈍器に縦かそれならうちでも簡単に直せるな2日程度時間をもらうがいいな?」

「大丈夫です、3日ほど休みを取るつもりでしたので、よろしくお願いします」

僕が頭を下げると、おうっという返事が返ってくる。


これでダンジョン用の道具の手入れは大丈夫なので続けて晩御飯の材料を買いに行く。

スーパーへと向かう途中ドローンを浮かべて行動を録画する、これはいまだにレベルを持つ人通称ホルダーに対してぶつかってくる人間はいまだにいる為証拠を残すためにドローンで自分の生活を記録しておくことが推奨されているのだ。

能力を下げているとはいえ、レベルを持たないものに比べるとレベルを持たない人よりも強い体を持っている為ぶつかられると問題になったりするのだ。

近所のスーパーにいくと精肉コーナーへ、お肉コーナーには牛豚鳥という、昔から変わらない種類のお肉が並んでいる。

肉と野菜を買ってあとはアイスやお菓子を購入し店を後にすると店の隣にあるモンスター食材専門の販売所で女性が買い物をしているのが目に入る。

女性は店主に向かって「扱っているモンスターのレベルはおいくつ?」と尋ねると店主は「10階層のモンスターですねと答える」

それを聞いた女性は「ではハンバーグをくださいな、近く運動会があってうちの息子アンカーに選ばれたみたいだからレベルを上げてあげたくて」なんて世間話をしている。

店主はそれを聞いて「じゃあコロッケおまけしておくので息子さんに食べさせてあげてください」等と言いながら代金を受け取り商品を渡していた。


ダンジョンのモンスターは特別なスキルを使うことでアイテムをドロップし、その中には肉もドロップする、そのドロップした肉を調理スキルを持った人間が料理することで食べると経験値が得られる料理になるのだ。


とはいっても4レベルくらいまでしか上がらないので上がったところでそこまで大きく身体能力が上がるわけではないので問題にはなっていない。

ダンジョンが出来たばかりのころはレベルに対して嫌悪感を持つ者が多かった為、購入したお惣菜で食事をしていたら急にレベルが上がり問題になったりもしたらしいが今ではそういう事もないし、そもそもダンジョン食材は冒険者ギルドが厳しく管理をしている。


もちろん今でもレベルに対して嫌悪感を持っている人は特に高齢者に多く勝手のウィーガンのようにモンスター食材による料理を食べることを反対する運動は起きていたりするし、活動者ではなくても高齢者がモンスター料理販売店を睨むような目つきで見つめながら歩いていたりするのだが。

ダンジョン歴50年、ダンジョンが生まれてから世界はダンジョン歴○○年もしくはアフターダンジョン?と呼ばれる年号を使うようになったこの世界は西暦と呼ばれた世界とダンジョンから持ち出された技術が合わさりいまだ混迷している。

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