第26話

●メタバースのヴァーチャル空間。

●12神ゼウスのアバターが専用のデスクに座り、頬杖をついてネット検索をしている。→見出しやウィンドウが空中に浮かび上がっているようなイメージ


●各ニュースサイトの見出しを眺めるゼウス。


<オリュンポス 西ヨーロッパの8割を制圧>

<オリュンポス 米国への侵攻から1年>

<オリュンポスへの加盟国53カ国>

<米中露はオリュンポスと徹底抗戦の構え>


●他方の空中にはSNS投稿(Xのポスト/Facebookなどのイメージ)が溢れている。

●ゼウスは頬杖をついたまま、視線だけでHOTワードを追う。


<#セカンドデュカリオンって何?> <#大虐殺> <#ジェノサイド>

<#地震多い> <#津波怖い> <#大津波> <#インドネシア諸島消失>

<#アーク> <#ノアの方舟> <#アララト> <#シュメルの洪水神話>

<#ギルガメッシュ叙事詩> <#旧約聖書> <#創世記>


●ゼウスはある1点を注視する。


<#怖い> <#死にたい> <#助けて> <#どこへ逃げる>

<#どうでもいい> <#楽にしてください> <#戦争終われ>

<#つまらない> <#退屈> <#戦争飽きた>


●ゼウスのアバターの目のアップ/透明感のある雰囲気に

●チキチキという作動音(ラーニングしてます)。


ゼウス「――ヒトの思考って、ほんと興味深い」


●そこへ、ほかの12神(11人)がログインしてくる。


≪join! Hermes≫

≪join! Demeter≫

……


●ゼウスのいる空間にオンラインゲームのチャット画面のような通知がそれぞれのマークと共にポップアップしてきます。

●ゼウスは検索画面を閉じ、元の空間に戻す。


<状況補足>

クローンAIであるゼウスが情報収集をしています。

情報収集の目的は人間の感情・思考に関するラーニングです。

人間の様々な感情や思考を学んで進化しています。

※この時点ではまだゼウスがクローンAIであうことは伏せてください。


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●場面変わり、きらびやかなオリュンポスのワールド内、広場の巨大な掲示板にお知らせが流れている。

●掲示板を眺める国民(アバター)、掲示板には【2047年10月8日】の文字。


<補足>

#22を9月24日と想定したので(週末時計が動き出す)

#23はその1週間後なので、10月1日(インドネシア諸島の1/3が消失)。

#24〜25は10月1日の午後としました。

・上記から#25から1週間が経っている(つまり#26は10月8日)と想定します。

・#25から1週間後ということでアラタがタカチホ第参ベースを離れる日です。

・なお、#26~27は10/8(同日)の話になります。


●掲示板に浮かび上がる天啓。


<天啓です>

<オリュンポスの国民の総人口が8千万人を超えました>

<人口1億人行っちゃうかも!>

<楽園解放(ルビ:タイタノマキア)キャンペーンはまだまだ実施中です>

<皆さん、ふるってご応募ください>


●天啓を聞いたオリュンポスの国民(アバター)。


オリュンポス国民A「で、結局のところオリュンポスは12月24日イヴに何するの?」


オリュンポス国民B「さあ、なんだろね?」


オリュンポス国民A「第二次世界大粛清セカンドデュカリオンって言ってるんだから、またどこかを派手に攻撃するのかな?」


オリュンポス国民B「なのかな~もう長いこと戦争してるから飽きてきちゃった……あ!」


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●場面変わり、リアルの世界の町の様子に。

●オリュンポス国民Bのユーザー(西洋人)がスマートフォンから目を離し、天井を見上げる。→ユラユラと天井のライトが揺れている。


オリュンポス国民Bのユーザー「earthquake(地震だ……)」


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●場面変わり、オリュンポス12神の円卓会議


ゼウス「第二次世界大粛清セカンドデュカリオンとノアの方舟伝説を紐づけてる人は多いね」


デメテル「津波とアーク方舟ですからね」


ゼウス「ねぇ、楽園解放タイタノマキアで五大陸を全部沈めちゃうの?」


デメテル「いえ、そこまでは。ただ……首都は津波で沈める計算です」


ヘルメス「どの国も海沿いに首都があるのは都合がいいね」


アポロン「アメリカ・ロシア・中国は火力で制すると」


ゼウス「うん。その方向で進めて」


アポロン「承知しました」


ゼウス「……ふふ、なんか面白くなってきたね」


●集まっている12神のアバターを見渡すゼウス。


ゼウス「――さあ、『世界』を作り変えよう」


●ゼウス、少年の姿のアバターで無邪気な笑顔を浮かべる。


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●場面変わり、リアルの世界のとある部屋。デスクに乗ったパソコンの前に座っている一人の男。

●円卓会議を終えた男(=アレス)がインカムをデスクに置く。

●以降、アレスの部屋の描写が入ります。

(アレスが韮沢であることをバラす回になります/顔は出さないでください)

●カーテンを閉めた部屋は暗く、アレスがカーテンを開けると部屋の全貌が見える。

●黒い家具で統一されたモノトーンのすっきりとした1LDK。

●5階建てのマンションの一室(5階)。

→窓の外には海が見えます(千葉の房総半島を想定)。




●立ち上がってキッチンに来たアレス、コーヒーを淹れる。コーヒーを注いだカップを持ち、部屋に戻ってデスクに座る。

●デスクには3つの写真立てがあります。

→1枚は海上自衛隊の制服を着た写真(アレスの顔は光っているなどで出さないでください)。

→2枚目は家族写真。(父・母・アレス・妹)(上記と同じくアレスの顔は出さないでください)

→3枚目はイージス艦はぐろの前で海上自衛隊5名と撮った写真。

●自衛隊員の5名の中には仲村勝也の姿がある。


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~回想シーン~

●防衛大入学式の日、後ろ姿の男性(アレス)が仲村勝也に声をかける。


後ろ姿の男「仲村君は有人機オキュパイドのパイロット候補なんだって?」


勝也「うん。子供の頃からロボットが好きでね」


後ろ姿の男「……コロッサスは、戦争の道具だよ」


●男の言葉に動じない勝也、むしろ人が良さそうな笑顔を浮かべながら。


勝也「う〜ん……だから惹かれるのかもしれないな」


●そんな勝也の言葉に男は逆に驚く。


後ろ姿の男「あ、危ない男だな」


勝也「はは、昔から戦争の話が好きでね。好きというか興味があるんだ」


●勝也、空を見上げて話す。


勝也「どうすれば人と人が争わないようにできるかを考えていたら、防衛大ここに来ていた」


後ろ姿の男「戦争の話が好きっていうのも、なかなか穏やかじゃないね」


勝也「そうかな? 僕が生まれ育ったところは東京の下町でね」


勝也「遠い時代の戦争で、町が焼け野原になった話をよく聞かされていたんだ」


●1944年(太平洋戦争時)の東京大空襲のイメージカット入る。

●男をまっすぐな瞳で見る勝也。


勝也「僕はね、人と人との争いを無くすには」


勝也「――『世界』を作り変えないといけないんじゃないかと思ってるんだよ」


●勝也の視線の先にいる韮沢太一の姿が登場。


勝也「韮沢君」


●アレス=韮沢であることを明確にしてEND

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