第16話
渡嘉敷「あいつらだ!」
●モニターに映る機影を見て叫ぶ渡嘉敷/表情は憎しみを露わにしている
渡嘉敷「仲村班長代理! あいつらが石原班長を…!」
馨「わかってます、わかってますからまず落ち着いて」
●馨と渡嘉敷の会話はコクピットの中のアラタにも聞こえている。
●馨、努めて冷静でいようとしつつも、心の中では状況をめまぐるしく整理している。
馨(さすがに第参ベースの彼らには荷が重い。こっちに来てほしくはないけど……)
管制官「敵機10時の方向に直進!」
●管制官の声にハッとする馨、緊張感が満ちる。
管制官「このままだと5分後にタカチホベースの小隊と接触します! 応戦願います!」
馨「こっちに来た! 総員配置について!!」
●バタバタと駆け出して持ち場に着く整備スタッフ。
●整備デッキに北野の声が響く。
北野「齋藤機 スタンバイ!」
●アラタのコクピットへの直接回線で北野が連絡を取る。
北野「白いヤツとの第2ラウンドだ。勝算はあるかね?」
アラタ「2週間何もさせないでそんなこと言うなんて、北野さんも人が悪い」
北野「そうかい? 俺はお前を結構買いかぶってるんだがな」
●アラタ、モニターで各種数値などを見て最終確認を行いながら。
アラタ「指示はありますか?」
北野「そうだな」
●北野、やや間を空けて語りかけるように。
北野「——第1ラウンドの惨敗はどうだった?」
アラタ「恥ずかしかったですよ。……無様で」
北野「いい答えだ。人の進歩は『恥ずかしい』と感じることから始まる」
●アラタ、コクピットの中で北野の言葉にじっと耳を傾けている。
北野「お前はもう以前のお前じゃない。この2週間で見えるものが変わってきたんじゃないか?」
アラタ「……」
北野「今のお前には新しい武器がある。その新型とあの8人だ」
●マルスの強襲を待ち構える第2~第3小隊のコロッサスのカット入る。
北野「この2週間、あいつらに色々教わっただろ。次は教えてやれよ、あいつらに」
●若手パイロット、木野本・浅沼・古田・石川・長澤・杉咲たちの顔のカット。
北野「――本物ってやつをな」
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●コクピットのアラタに向かって馨が声を張り上げて告げる。
馨「整備完了!! いつでも行ける!」
●いつものように憮然とした表情(というか無表情)で馨を見るアラタ。
アラタ「……どうも」
馨「あああもう! 新型の初陣だぞ!エンジンの出力とか調子はどう?」
アラタ「……悪くない」
馨「ったく、いつもいつも拍子抜けする返事ばっかりして!」
●いつもの調子に戻ったアラタに悪態をつきつつ、ホッとしているような表情の馨。
●馨の言葉に珍しくクスリと笑うアラタ。
アラタ「ほら、出すからあっち行って」
馨「あーもう! 生きて帰ってこいよ!」
●アラタ、どこかスッキリしたような顔に余裕の笑みを浮かべて。
アラタ「当然でしょ」
アラタ「――サイトウ機 出ます!!」
●発進するアラタ機(フジ/FUJI)
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●一方、戦場となった基地では国防軍のコロッサスが飛行ユニットをパージしたマルス・フォボス・ダイモスと間合いを取っている/照準機に映るマルスの姿に杉咲の手が震える。
杉咲「……なんか、怖いですね。あの白いの」
●国防軍コロッサスが放った弾丸を高度な機動力で避けたオリュンポス3機、タカチホベースのコロッサス群にお返しとばかりに発砲。
→タカチホ第壱、第弍ベース一気に半分ほどのコロッサスが大破してしまう。
石川「なんだアレ……動きが僕らと全然違う」
長澤「ハ? うっそ全然照準があわねー!」
杉咲「こっちに来ます!!」
●アレックスとブランカのコクピットにはオリュンポス機のスペックを目の当たりにした若手たちの声が響いている。
ブランカ「こりゃやばい、一旦引くか?」
アレックス「……いや」
ブランカ「?」
●及び腰になりかけるブランカ。しかし、アレックスはモニターに表示される識別コードを見てニヤリと笑う。
アレックス「あいつが来たよ」
●アラタ機(フジ/FUJI)が戦場に到着。
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アラタ「木野本、浅沼は僕の背後につけ!」
●回線を開いて指示を飛ばすアラタ。
アラタ「第2小隊は右、第3小隊は左のコロッサスを。第1小隊は白いコロッサスを叩く!」
浅沼「えぇー!?」
木野本「ま、マジかよ」
●アラタの登場と勢いに押される浅沼と木野本。
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アラタ「行くぞ! 総員突撃!!」
●アラタ機が先陣を切り、タカチホ第参ベースの9機がオリュンポス3機に突撃するカットでEND
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