第2話
薫「そうだ。人に慣れる為にレモネード売ろうかなぁ。誰か一人でも買ってくれたらお話しできるはず。お隣さんに人が住んでるから来てくれないかな?」
レモネード作りの売り場や材料を揃えてさっそく家の前でレモネードを売りに出す。なかなかお客さんは来なかったけど、外の空気を肺いっぱいに吸って売り物のレモネードを飲みながら道を行き交う人をぽつりぽつりと見送る。すると、初めてのお客さんが来た。
俊「すみません。レモネード一つ。」
薫「ありがとうございます。一つ100円です。」
薫は俊の顔を見た時に心を鷲掴みにされた感覚になっていた。赤くなる顔を必死に隠す。
俊「その親指の指輪、いつも着けてるの?」
薫はレモネードをカップに注ぎながら返事をする。
薫「そうなんです。身につけておいたら安心するんです。」
俊「へぇ。特別なリングだね。僕の名前は俊って言うんだ。隣に住んでるんだよ。毎日レモネード売ってるのかい?」
お隣にホームステイという懐かしい形で来ていて、お隣さん一家はこの男性を中心に生活が回っていると楽しげに話しているのを小耳に挟んでいたので、すぐに話しが分かった。
薫「そうなんですね。毎日売ってますよ。わたしの名前は薫っていいます。これが本業じゃないんです。AI開発を主にしてるんですけど、気晴らしにレモネード売ってるんです。」
俊「へぇ。面白い理由だね。僕が隣にホームステイしに来た理由みたいだ。」
薫「どんな理由で来られたんですか?」
俊「世界平和の維持が仕事でアメリカ大陸にホームステイしてるよ。薫さんも仕事でしょ?」
薫「そうです。広い土地が良くて選んだんです。」
俊「そっか。AI開発に僕も興味あるんだけど、どうして悲しみを感じさせるコードで自己学習させたの?あれ、良い案だと思ったけど、もう一押しいるんじゃないかなって思ってる。」
薫「もう一押し?愛は凶暴ですよ。だから悲しみにしたんです。」
俊「そう。愛がヒントだ。慈しみの心で自己学習させてごらん。相談いつでも乗るよ。」
薫「慈しみの心か、、、やってみます。早速考えてみてるんですけど、、、うーん、、、」
俊「この時間、毎日来るから。」
薫「ありがとうございます。根つめるのに疲れちゃってて、、、」
薫と俊は話しが盛り上がる。それから毎日コードを打ってはレモネードを売って俊と話す毎日に幸福感を覚えていた。
俊と話すようになって2週間。すっかり仲良くなかっていて、薫は俊に貰ったアドバイス通りに慈しみの心をダウンロードさせることに成功した。
薫「あ、明日は七夕だ!日本の風習だけど七夕もやっちゃおっと。」
7月7日に笹と短冊を用意してレモネードをいつも通り売っていた。
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