第9話 コンテストのその先に
書籍化する人向けじゃないよ、と言いつつのそういう人向けの話。
コンテストなり何らかに絡んで、こういう愚痴みたいな言葉をよく聞きます。
『何でコンテストはあんなにカチッとしたテンプレ作品を求めているんだ。面白いものを書けば良いじゃないか』
これは……仕方ないんですよね。
川野は自分の名前で書籍化したことはないですが、歴史系の本の一部とか歴史系の人気漫画の解説本などを書いたことがあります。
その経験から言えばこういうのってほぼ、ほぼ自由がないんですよね。
この話題で何ページ、こっちで何ページという形で分量まで決められています。
それと比べたら、コンテストなんて結構自由じゃないか、とすら思えてきます(^^;)
誰でも知っているような有名な作家になれば「面白いものを書けばそれでいいじゃないか」となるかもしれませんが、それはあくまで例外です。
そもそも、本は作者だけで出版されるわけではありません。
誰も知らない新米作家を任される編集者の立場を考えてみればすぐ分かることです。大失敗なら編集者だってクビになるかもしれないわけで、当然保険が欲しくなる。その時、保険になるのは何なのか。
「会社の求める作品を一番うまく書いてくれたのがこの人です」
これしかないわけです。
だからコンテストで指針に沿ったものを出すのは当然だし、昨今のカクヨムのコンテストは至れり尽くせりで説明してくれるわけですから、それに従うものを書くべきなのは当然。
それが嫌なら、本当に書きたいものを書くのなら持ち込みとかそういうのでやるべし、となります(少し前の松岡圭祐さんの創作本にそういう話もありました)。
もちろんそれはもっと大変だと思いますが。
ということで、コンテストの企画者には100パーセント従うべし。
それは当然の摂理ということになります。
ただし、一方で、このあたりはラノベが売れなくなる理由にもなりうるのかなとも思います。
つまり、コンテストで細かいところまで求めるようになった。
大賞はもちろん一番高い評価を受けたものになるはずですが、コンテストが求める大賞に近いレベルの話もカクヨム(もちろんなろうやアルファポリスその他諸々の投稿サイトに)内に増えます。
値段も上がっているし、1000円出して受賞作を読むより、2番手3番手でも我慢できるならそれでもいい、って感じの読者も結構いるんじゃないかなと思います。
要は「投稿サイトにある分なら読むけれど、わざわざお金を出してまで買うか」ということですね。
それぞれの投稿サイトではものすごい評価があるのに、書籍化されている本はあまり売れていない、というケースは大体こういうことなんじゃないかなぁ、と。
しかも、この観点から見た場合には、以前に話題にした「常識を多くした方が読者はついてくる」といったことも逆効果になるかもしれません。
読者が常識のように知っていることのためにお金を出すかとなったら……、
出さないですよね。
川野はだいたい月に一万円くらい書籍を買いますが、ラノベはもう何年も買ってないですね。
「この本から得るものが何かあるか」となった場合、「ないよね〜」となりがちですので。
川野のケースは特殊にしても似たようなものはあるわけで、そのあたりが課題なのではないかと思います。
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