第9話──鏡の声、消えた旋律

鏡に浮かんだ謎の文字が消えた直後、イサクラは息を呑んだ。

音楽室の薄暗い空間が、まるで別の世界に変わったようだった。


楽譜の赤い音符が示す音階を口ずさむと、壁の一部が微かに震え、音楽室の隅に隠されていた古びた扉がわずかに開いた。


中に入ると、狭くひんやりとした秘密の部屋。

そこには大量のノートと手書きの遺書が積み重なっていた。


一冊を手に取ると、ページの間に折りたたまれた紙切れが挟まれている。


「嘘の中の真実は、音符に隠されている。」


イサクラの視線は紙切れの裏に刻まれた、不可解な数字列へ。


彼は気づいてしまった。

この数字列は、火曜会の遺書の書き方マニュアルに隠された暗号とつながっているのだ。


イサクラは、10年前に息子を殺した罪の重さを思い出しながら、今まさに真実の扉を開けようとしていた。

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