ガルニエの料理番
ガルニエに帰って買い出したものを各方面に分けた。マークしておいたところからガルニエまでひとっ飛びだ。マーク同士との間なら魔力消費はそこまで多くない。ただマークを作るのに魔力が少しかかる。それに何個も作るとどれがどこに繋がっているかわからなくなるから無闇に作りたくないとキエリスが言っていた。キエリスには過去に作ったマークの場所をなんとなくわかるらしい。さすが血の魔法。ここに関しては私にもよくわからない。
キッチンに着いた。とりあえず箱いっぱいの食料を何箱か買ったのだ。
「ランラン!シンシン!ミッケ!いるかーい?」
「「ステラッチェ団長様!!」」
「おぉ、いたいた。とりあえず、手当たり次第に買っておいたんだ。四箱分だけだけど。」
「ジャガイモにとうもろこし」
「小麦粉にチーズ、あとは諸々の青菜ですね」
「お肉とか魚は今どれだけあるかわからなかったから保存の効きそうなものとすぐ消費できちゃうものだけ買ってきたんだ。足りなくなったらキエリスに言って連れて行ってもらうんだよ。」
「「はい!!」」
ランラン、シンシンはリーホワの世話役。リーホワは箱入り娘だから2人が作ったもの以外は食べてはならない。だからリーホワがうちの団に入った時にこの2人も入ってきた。ランランは右でサイドテールを、シンシンは左でサイドテールを作っている。ちなみに双子の10歳。どちらも黒髪だけど、ランランはサイドテールの毛先が赤でシンシンは青色に染めている。私の毛先を真似しているのだ。2人はとっても似てるからぱっと見でわかるようにしている。
リーホワの世話役とはいってもリーホワ以外の団員達にも料理を作ってくれている。まだ小さいのに料理がとっても上手で、2人の故郷の料理や初めて見る食材などでも美味しくしてくれる。
「ミッケは?」
「「たぶん、たばこです!!」」
「そっか。重いものは遠慮せずにミッケに任せるんだよ。あと危ないこととかもね。」
「「もちろんです!!」」
息が合っている。惚れ惚れするコンビネーションだ。
ガチャとドアが開いた。ヒゲのゆるふわパーマが出てきた。
「あれ団長」
「「帰ってきました!!」」
「やぁミッケ。食材を仕入れたから持ってきたよ。」
「あらこれはこれは団長様直々に申し訳がない。立派なじゃがいもだこと。リマクでもじゃがいもが有名なの?」
「うーんどうだろう。よくわかんないで買っちゃった。」
「この土地じゃこれから夏ってことはとうもろこしってまだ旬じゃないのに。農業が結構発達している国なのかもしれないな。」
そういえばそうだ。寝癖なのかパーマなのかわからない格好をしているけど頭は回っている。
ミッケがうちの正式なキッチンの主だ。茶髪でパーマで髭が生えていて清潔感があんまりないおじさん。タバコも吸う。だが料理は抜群に上手。それに早い。リーホワはこんな煙草臭い男の料理が食えるかと啖呵を切ったけど、それにキレたミッケが本気を出してリーホワの胃袋から説得させた。ランラン、シンシン以外で唯一リーホワに料理を振る舞える男なのだ。
「2人にもさっき言ったんだけど買い出しがあったらキエリスに言ってね。あと2人に危ないことさせないでよ。あと重いものとか。」
「おじさんも腰が最近痛くてね」
「なに?」
「なんでもないです」
全く、演技くさく腰に手を当てて。こっちは舞台のプロだぞ。
「物価もそこまで高くなかった。野菜系は特にね。あとは3人に任せるよ。」
「そうかいそうかい。じゃ色んなの仕入れてみんなに栄養つけてもらおうかね。」
「うん。助かるよ。お金はルミオに聞いてね。今日いくらかまた換金してきたから。」
「あぁ、了解了解」
「「ステラッチェ団長!!また遊びに来てください!!」」
「もちろん!時間がある時にまた料理教えてね。ミッケ、たばこも大概にね。」
「お袋みたいなこと言うなぁステラッチェ団長ちゃんは」
「なに?」
「なんでもないです。」
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