第24話 好きって、言ってほしかっただけ
体育祭終わり数日後、なんだか少しだけ、佐倉くんの様子が変だった。
話しかければ笑ってくれる。
一緒に帰るのも、変わらない。
——でも、どこかよそよそしい。
* * *
放課後、思い切って問いかけた。
「ねえ、最近……ちょっと冷たくない?」
彼は目をそらして、少し沈黙した後、ぽつり。
「……だって、しの。最近、他の男子とも笑って話してるじゃん」
「それって……」
「俺ばっかり、好きでバカみたいって思った」
その言葉が、胸をぎゅっと締めつけた。
「バカじゃないよ。佐倉くんが好きって、ちゃんと伝えたいって思ってたのに……」
目が潤むのを抑えながら、私は続けた。
「好きなのは佐倉くんだけ。笑ったって、安心してほしくて……でも、言わなきゃ伝わらなかったよね」
* * *
彼が急に近づいて、私の肩をそっと抱き寄せた。
「……ごめん。俺も、しののこと大好きだ」
「うん。私も、大好き」
その言葉を繰り返しながら、
ふたりの距離は、前よりももっと強く、近くなった。
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