第23話「裏税界からの使者と“税魔”の真実」

 滅税連盟の本部に、突如として現れた謎の使者。

 その姿は、かつてクロウが対峙した“税魔”に酷似していた。


「あなたは……?」


 クロウが問いかけると、使者は静かに答えた。


「私は“裏税界”からの使者。

 あなたが滅税連盟を築いたことにより、我々の世界にも影響が及んでいる」


 


 ***


 


 裏税界とは、表の世界で課税されなかった“負の記録”が集まる場所。

 そこでは、忘れられた税、無視された義務、そして抑圧された意志が形を持ち、存在していた。


「あなたが記録を拒み、滅税を進めたことで、裏税界のバランスが崩れ始めた。

 その結果、かつての“税魔”が再び動き出したのです」


 使者の言葉に、クロウは驚きを隠せなかった。


「税魔は、滅税の副産物だったのか……?」


「正確には、記録されなかった想いの集合体。

 あなたが記録を拒むことで、彼らは力を増していったのです」


 


 ***


 


 使者は続けた。


「裏税界では、今、新たな“税魔”が誕生しつつあります。

 それは、あなたが救った人々の“感謝”や“希望”すらも取り込もうとしている」


 クロウは拳を握りしめた。


「それを止めるには、どうすればいい?」


「記録を拒むのではなく、正しく記録すること。

 感情や意志を数値ではなく、物語として残すことが必要です」


 


 ***


 


 クロウは決意した。


「俺は、もう一度筆を取る。

 今度は、税のためではなく、人々の想いを記録するために」


 ラグズが微笑む。


「それが、あなたの本当の役目だったのかもしれないわね」


 


 ***


 


 数日後、クロウとラグズは裏税界への扉を開いた。

 そこには、無数の“税魔”が蠢いていた。


「これが……記録されなかった想いの末路か」


 クロウは、静かに筆を走らせた。


「あなたたちの想い、確かに受け取った。

 これからは、忘れられないように、物語として残していく」


 その瞬間、税魔たちの姿が光に包まれ、静かに消えていった。


 


 ***


 


 裏税界のバランスは、再び保たれた。

 クロウは、新たな帳簿を手に、静かに呟いた。


「これからは、記録を通じて、人々の想いを紡いでいこう」


 ラグズが頷く。


「それが、私たちの新しい使命ね」

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