第二章:森の民、マレア族
遥か昔、森に“マレア族”と呼ばれる少数民族が暮らしていました。
彼らは森の精霊を敬い、木々と話し、動物と共に生きる民でした。
火を囲み、月の満ち欠けに合わせ歌を捧げ、
傷ついた者には薬草を煎じて癒やしを与えました。
マレア族の女性たちは、とりわけ薬草の知識に長けていました。
「病は森が教えてくれる」
「病は森が癒してくれる」
そう信じ、草を摘み、根を砕き、香りと苦味を記憶に刻んでいきました。
けれど、彼らの祈りや言葉は、外の人々には奇妙に映りました。
草木の囁きに耳を傾け、動物の声を聴き、
月や雲や風の動きを見るマレア族の暮らし方は、
日々の仕事に追われ、目の前の事柄を処理する事に懸命だった人々には
「そんな暇があるなら、働けば良いのに…」
と、怠けているようにも見えたのです。
やがて「精霊と話す民」は“魔術を使う魔女”と呼ばれるようになりました。
マレア族の人々を見る目は、奇妙ではなく、恐れへと変わっていったのです。
それでもマレア族は、森に背を向けることはありませんでした。
森こそが彼らの家であり、精霊こそが彼らの祖先だったのです。
続く~第三章へ~
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