蚊 あるいは私達の子

ぽんぽん丸

結実

私は屈んで彼の部屋の玄関ドアに秘密工作員のつもりで張り付いた。ドアと一体の郵便受けの金蓋を慎重に押し上げる。それから私の蚊を閉じ込めた試験管を取り出し、持ち上がった金蓋の隙間に差し込んで解放する。


プーーンと耳につく嫌な音を元気に鳴らして、蚊は彼の部屋へ流れ込んでいく。そうして私は社会からの解放を感じる。

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