ワープ系チートだけど、行きたい場所にいけません
甲斐悠人
第1話『チート発動!さっそく森で全力ダッシュ!?』
目を覚ますと、そこは真っ白な空間だった。
「え……あれ? 俺、たしかスケボーで坂道下ってて……」
――ドカン! ゴンッ! ビターン!
そんな音と共に、最後に見たのは迫りくる電柱だった。
「うわ、まさか……死んだのか、俺……っていうか電柱に負けるってどうなんだよ……!」
そう嘆くカケルの前に、ひとりの女性が現れる。
「やあ、結城カケルくん! ようこそ、転生待機ルームへ!」
「軽いな!? 初対面のテンションじゃないだろ!」
「ふふ、私は女神シエル。あなたを異世界に転生させるために来ました!」
「いや設定テンプレすぎて安心するけどさ、さっきの死因なんか悲しくなってきたわ!」
女神シエルはにこにこしながら説明を始める。
「この世界は魔王に脅かされていて、あなたの力が必要なの!」
「でも俺、ただの高校生だよ? RPGの知識くらいしかないけど?」
「だからこそ! あなたには“ワープ系チート能力”を授けます!」
「ワープ……って、好きな場所に瞬間移動できるアレ?」
「そう! 超便利! 超強い! 超お得!」
「うさんくせぇ通販番組みたいに言うなよ!」
そうして転生ボタン(物理)を押され、カケルの視界は光に包まれた――。
――次に目を開けると、そこは草原だった。
「おぉ……マジで異世界だ。なんかちょっと感動……」
カケルは荷物もなしに放り込まれたことに若干の不安を覚えつつ、最初の目的地を思い描いた。
「とりあえず人里だよな……よし、王都に向かって、ワープ!」
――シュンッ!
視界が一瞬で切り替わる。
「……森だなこれ!!」
鬱蒼とした木々、獣の唸り声、そして目の前には――
「ガルゥゥゥゥ……!」
「うわあああああ!? なんで開幕で狼に囲まれてんの!? 俺、王都って言ったよね!? ねぇ!?」
必死で逃げながら、カケルはもう一度スキルを発動する。
「頼むって! 村! 人里! 人の気配がある安全な場所ァァァッ!」
――シュンッ!
「…………また森! しかもさっきより深い!! なんでだよ!!!」
カケルの叫びが森中に響き渡った。
その後、なんとか小川のそばで木の実を食い、体力を回復したカケルは、
石の上に寝そべりながら空を見上げてつぶやいた。
「……これ、チートじゃなくて呪いなんじゃね?」
そのころ、天界の転生管理室では――
「……あれ、移動先設定の“目的地座標”って逆にしちゃダメだっけ?」
女神シエルが首をかしげていた。
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