最初の事件

クラスの陰キャという立ち位置

窓際の席は、窓から4月の温かい日差しが入り込んでくるので、最高である。

ところでこの学校はなぜだか都市伝説や怪異の噂が絶えない。

この学校が事故物件や神社を取り壊し、建てられたというわけでも別にない。

ただ、ごく一般の土地に建てられた普通の小中高一貫校である。

「ねーねー梅雨~」

うつ伏せ状態になっている俺の頭の方から声が降ってくる。

見るまでもなく蓬莱ほうらだ。

のっそりと顔を上げ、まばたきしながら聞く。

「どうした?」

蓬莱は、綺麗な黒髪で顔立ちも整っている。

各パーツを小さいし、よく言われるイケメンと言うものに近い。

いや、近いと言うかそうなんだろうけど。

それでも人は近寄ってこない。

いつも、2人して遠巻きにされている。

俺と蓬莱は浮いている。

如月梅雨きさらぎつゆという人間は空気のように存在感がなく、ぶつかられても謝りさえされない。いじめられているわけではないのだろう。多分。

そして、鈴懸蓬莱すずかけほうらという人間は都市伝説オタクで、人付き合いは俺よりはきっと上手いものの、変人という扱いを受けている。

だが、当の本人は全く気にしていないようだし、ちょっと前に聞いてみたら、

「自分が好きなことをしているだけなのに、なんでわざわざそれを辞めなくちゃいけないの?」

と言っていた。

芯があって強い。

「また面白い話見つけたんだ〜」

「へぇ?」

蓬莱がウキウキな声で話すときは百パーセントこの手の話題だ。

休み時間は常に寝ているので、情報がほぼ入ってこない。

暇つぶし程度に、『リンスタ』というアプリを入れているが、

ほとんど加工済みの写真しか載ってないので、蓬莱が好きそうな話題はゼロだ。

「私立咲ガ原学園、面白い話!その名も『くねくね』!」

「あーくねくねか」

「うん!くねくねって、見ると精神に異常をもたらすんだよ!」

目をキラキラさせて楽しそうに言う。

「あ、やめよう」

恐いのにはまだ耐性があるが、精神異常系は無理なのだ。

「えー!見に行こうよー!」

「そういうやつがいるからうちの神社のお祓いが絶えないんだな」

好奇心で心霊スポットに行かないように。

子供のころから、口酸っぱく言われていたことだ。

「じゃぁせめて八尺様で。それか口裂け女でもいい」

「お!いいね~なんだかんだ言って梅雨は乗ってくれるもんね!」

八尺様や口裂け女は心霊スポットではないのでまだセーフだろう。

多分。

「じゃぁ早速会いに行こう!」

「はいはい」

俺たちは帰りのホームルームが終わった後、誰よりも早く教室を出て、

「出る」と噂のスポットに向かった。

これは心霊スポットだと思う。

バレたらヤバそうだ。

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