風に消えて


強い風に煽られ、蜘蛛の子は綿毛から落ちてしまう。

糸を出しても、何にも引っかからず、風の中へ消えていった。

綿毛は無事着地したものの、蜘蛛の子の姿はもう見えない。

けれども、時折、風が吹くたびに、ふわりと何かが笑う声が聞こえる。

「旅を選んだことに悔いはない。――きっと、またどこかで。」

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