第2話 今更、そう今更……
【日記6ページ目】
今日は先生に日記を見せた。
書いていたはずの日記が何故か消えてて、先生にどうしたのか聞かれてしまった。
私は答えに困って黙り込んだ。先生が何か話していたけどもう何も聞こえなかった。
ただ一つ、私は誰からも信用されないんだと思った。
今更、当たり前の事を思い出して涙が溢れるなんて馬鹿げてるよね。
ーーーー
日記が消えた?破り捨てたとかそう言う事だろうか?しかし破れた様子は無い。
日記の主は夢でも見てたのだろうか?夢の中でも日記を書くなんてどれほど日記の
【日記7ページ目】
先生が渋い顔をしてた。
表現が曖昧過ぎて何も伝わらないんだろうな。分かってる。でも私にはこれしかないから。
もっと周りを見てごらんと言われても困る。
周りを見ても人は背景と変わらないし、声は雑多なBGMと変わらない。
何を感じて欲しいのか具体的に言ってくれなきゃ分からないと伝えたら絶句された。
ねぇ、私ってそんな変な事言ってる?
ーーーー
日記、だよな?……
何故か話しかけるような言い方になってきたような気が……?
【日記8ページ目】
不思議と足は止まり振り返り、ナニカが流れ落ちるのを止める事もなくただ呆然と見ていた……
私の蒔いた種がそれはそれは大きく育って空を隠してしまった。
種が芽吹いただけ。それも取り返しのつかない程大きく大きく育ってしまっただけ……
ほんの出来心だったんだと思う。傲慢にも何とかなると思っていたんだろうと。私なんかに何ができるわけでも無いと言うのに……
余計な事、無駄なだけならまだ良い。
盛大に何かを散らせば片付けはそれだけ大変だ。
片付けようとしてありとあらゆるものを出して並べたら戻す事さえ出来なくなったみたい。
結果余計に周囲に仕事を増やしてしまった。
大きく根を張ったそれは巨木となってもはや誰にも切り倒さない程に大きくなった。
ーーーー
ぞくりと背筋が震えた。外は気持ち悪い位に赤く染まった空と、まだ夕陽が差し込んでもおかしくない明るさを持っているのにこの部屋だけ異様に暗い。
窓の外にある巨木が日を遮っているようだ。
……窓の外にこんな巨木あっただろうか?……
考えた途端ビリビリと蛍光灯に電流が走りパチっと音を立てたかと思うと急に明かりがついた。
部屋の中は不必要な程に明るくなった。
……帰ろう。そう思った時気付いた。
おかしい……
確かに外はいつもと変わらないはずなにのひどく違和感を覚える。
ここはどこだろう?と錯覚する。
帰り道がわからない……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます