第8話 双子の魔法少女
前回のあらすじ
・こまりと雷華が野良精霊探しをする!
・キットと言う猫の精霊に会い食事を奢る!
・キットは謎の女性に殺される
以上!
町外れの廃工場…2人の魔法少女が怪人出現の知らせを受け探索していた。
「ねぇマチネ本当に怪人いるのかな?全然見当たらないんだけど…」
シアンの髪色の少女がもう片方の少女に問いかける。
「そうだねソワレいたずらだったのかな?」
マゼンタの髪色の少女がそう答えた。
そう言い合う2人の魔法少女マチネとソワレは双子の魔法少女である。
本名
この2人は二人で一匹の精霊と契約した珍しい魔法少女だ。
そんな2人はSNSで匿名の知らせを受け現場へ駆けつけた…だがそこに怪人がいる気配はない。
「せっかく遠くまで来たのに無駄足かぁ」
ソワレは残念そうに呟く。
「まぁまぁソワレ帰りデザートでも食べて帰ろうよ」
マチネがそう言い廃工場から出ようとした時、工場の隅から音がした。
二人が音のした方をみるとそこにはネズミの怪人がいつの間にか出現している。
「どっから出てきたのよ!」
2人は同時にそう言うと短杖を取り出す。
三日月を象った杖と太陽を象った杖を怪人に向けるとソワレとマチネは二人同時に魔法を放つ。
シアンとマゼンタの光が渦を巻きながら怪人へ放たれた。
「なんでぇぇ〜」
怪人は情けない声をあげながらあっけなく爆散した。
「なんか…居たけど肩透かしな感じだったね」
「私達が強すぎるだけだよマチネ!」
本当にそうだろうか…ソワレはいつも楽観的であまり物事を深く考えない。
あの怪人はあまりにも弱かったしついさっきまで気配も無かった。
通報した人はなぜ気づいたのだろう?
なんとも腑に落ちない微妙な気分になりながらマチネが帰ろうとした時工場の入り口に一人の女性が立っているのが目に入った。
「怪人をやっつけてくれたんですね!ありがとうございます!」
そう言いながら笑顔で彼女は近づいてきた。
なんでこんな所に1人でいるのだろう…
この人が通報してくれた人だろうか?
「いやぁ、それにしても二人とも可愛いし強くてファンになっちゃいました!握手してもらってもいいですか?」
「もちろんいいですよ!」
そう言いソワレは女性に近づく。
この女性はなにかおかしい…マチネの勘はそう告げていた。
「ソワレ!」
そう叫びマチネはソワレを後ろへ引っ張った。
引っ張られたソワレの目の前を大きな鎌が通り過ぎる。
「あれぇ〜気づかれちゃったか〜マチネちゃんのほうがおねぇちゃんなのかな〜?」
先ほどまでとは違う薄気味悪い笑みを浮かべ女はこちらを見る。
その背後にはいつの間にか6体の不気味な小さいマネキンが浮いていた。
「あんた一体何なの!?魔法少女?!」
戸惑いながらマチネはそう問いかける。
「う〜ん、そういう事になるのかなぁ?人助けなんて1ミリも興味ないけどね」
「一体何が目的?!」
「ただ強くなるのを楽しんでるだけだよ〜ゲームみたいなものかなぁ」
女はそう言い笑う。
…こいつはまともじゃない。
「ソワレやれる?」
もちろんと頷くソワレを見てマチネは覚悟を決める。
怪人ではないがこの女は危険人物だ。
動けなくなる程度には痛めつける必要があるだろう。
「2対1はズルなんじゃないのっと!」
女が大鎌を振り下ろすのを二人はバク転でかわす。
ソワレはそのまま杖を構え女に向けて魔法を放った。
「ソワレちゃんはせっかちなのかな?それともおバカさんなだけかなぁ〜?」
鎌で魔法を切り裂いた女はそのまま歩みを進める。
「なんですってぇー!」
「ソワレ!簡単に挑発に乗らない!」
その様子を見た女は可笑しそうに笑っていた。
「マチネちゃんのほうが優秀みたいだねぇ、1人で契約したほうがよかったんじゃない?」
「余計なお世話よ!」
たしかにソワレは無鉄砲なところもある…でも私はその行動力に何度も助けられた。
マチネは女に特大の魔法を放つ!
「君もそれかぁ~二人ともおバカさんってことかな?」
その時マチネの放つ魔法の後ろに隠れつつ移動したソワレが女の頭上へジャンプし魔法を放つ。
「うぉっ?」
2人の魔法は女に直撃し爆発した。
地面に着地したソワレとマチネは女を挟み込むような形で警戒を怠らず様子を見る。
「…殺してないわよね?」
「たぶん大丈夫でしょ?」
しかし2人の心配は杞憂であったなぜなら…
「あっぶないなぁ〜当たるかと思ったよぅ」
女は何事もなかったかのように無傷だった。
「なっ?!どうして…」
「バ〜リアってやつだよぉー」
そう言い女は自らの周りに薄緑色のバリアを展開した。
「まさかバリア使うくらい強いとは思わなかったよ〜お姉さん感心しちゃうなぁ」
「せっかくだから新しい力も試してみようかなぁ」
女が手をかざす。その瞬間マチネの身体に動けないほどの重力がかかった。
「おぉ~すごいすごい!猫ちゃんありがとねぇ〜」
「なっ…にこれ…身体が…重い」
「マチネ!?」
女はニヤニヤしながらソワレの方へ振り返る。
「さっ正々堂々一対一で戦おうねぇ!」
ソワレは魔法を乱射し、女を牽制しながらマチネのもとへ向かう。
早くマチネを助けなければ…
その焦りがソワレに隙を生んでしまった。
「次はこういうのはどうかなぁ?」
女が鎌を振ると禍々しい色をした斬撃が飛んでくる。
斬撃はソワレに命中し彼女は激しく吹き飛ばされマチネの隣に倒れ込んだ。
「ソワレ!」
「っ!大丈夫…」
「そかそか頑丈だねぇ〜じゃあ2人仲良くバイバイしようか♪」
女が致命的な何かを繰り出してくる予感がした2人は覚悟を決め手をつなぐ
「ソワレ…」
「マチネ…」
「なんだい?遺言かなぁ〜」
「ジュルネ!」
その瞬間2人をシアンとマゼンタの光が包み込む。
「今度はいったいなんなんだい?」
女は振りかざした鎌を構え直し警戒する。
いざという時のためにバリアも張ってある…一応保険というやつだ
2色の光は混じり合い弾ける。
中からはツートンカラーの髪の1人の女性が現れた。
マチネとソワレは二人で一匹の精霊と契約した珍しい魔法少女である。
そして2人が一体になったこの姿こそが魔法少女としての真の姿であった。
「やぁ、久々だねジュルネ!」
そう言いメジロの精霊が彼女の肩にとまる。
「ええ、久しぶりジロー」
「僕が出るほどの強敵ってことなんだね」
そう言いジローとジュルネは目の前の女を見据える。
「第2ラウンドってことかなぁ〜?」
そう言いながら女はニヤニヤと笑うのだった。
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