万能者
「諸君! 準備は良いな! 本任務に失敗すればこの兵器が更に世界中にバラまかれる!!! 絶対に成功させるぞ!!!」
「「「イエッサー!!!」」」
ハルスさんの言葉に全員が大きく返事を返す。
皆装備を整え、車庫の前に立つ。
全員しっかりと休めていたからか動きが軽い。装備も新品。やる気が漲っているのが分かる。
「皆やるぞ!」
「おお!」
俺も装備を更に一新。市長に頼んでおいた特注品のリボルバーを大事にしまう。
ここに居るのはグロリアに居た軍人の生き残り。そして俺と傭兵の皆。
ミーティングで明らかになった事だが傭兵団は市長に雇われていたことが明らかになった。
当初市長は自身の命が狙われていたと勘違いしたらしく傭兵団を雇い街から脱出しようとしたらしい。
しかし真実は市長ではなくグロリアを奪うことが奴らの目的だった。
そしてナノマシンの散布による暴挙が始まってしまい傭兵団は半壊。
グロリアの中に居たメンバーも大半が死んでしまい、防衛システムが無かったらその時点で目的達成されるところだったと言う。
市長は傭兵団のメンバー達に謝罪した。
多くの感情が渦巻いた事だろう。だが傭兵団のメンバーを押さえ、ハルスさんが謝罪を受け取る。
こうして傭兵団と市長は改めて協力体制に入った。新たな装備を受け取り、市長の作戦に乗ることとなる。
「作戦の要はユウキさん。貴方です。……頼みました」
「任せてください。それじゃあ皆! 行ってきます!」
「頼んだぞ!」
「必ず生きて帰ってこい! リラのためにもな!!!」
生存者達が応援に来てくれた。
最初は不安そうな顔をしていたが、覚悟を決めた俺の顔を見て皆も希望を宿してくれたらしい。
俺達が車に乗り込み、グロリアの外へと進んだ時も後ろから彼らの声援が聞こえてきた。
作戦はシンプル。基本的には俺と隊長ゾンビの一騎打ち。
他のメンバーは周辺のゾンビ特殊部隊の足止めとなる。
等間隔に分かれ目的地へ、壁の向こう側にあるトラックへと向かっていく。
周辺は既にゾンビまみれとなっていた。
「こちらAチーム。準備完了」
「Bチーム。同じく準備完了」
「Cチームも問題ありません!」
全員が定位置につく。
壁を壊すためのロケットランチャーを持ち、いつでも爆撃ができるようにしていた。
「よし皆……爆撃開始!」
「「「撃てえええ!!!」」」
派手な爆発音と共に壁が崩れる。
奴らがあたふたと慌てている隙に一発、対戦車ライフルを発射。
隊長ゾンビ目掛けて発射された弾丸は奴の脳天に間違いなく直撃し……。
「いや! 切り落とされた!」
直前で大剣で真っ二つに切り下ろされた。
俺は軽く挑発しつつ、奴の真正面へと降り立った。
「あの時の続きしようぜ! だがな、今の俺はあの時より更に強くなっている!! 勝つのは俺だ!」
「aaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」
決戦が始まる。今回俺はなるべく速攻でこいつを殺さなければならない。
他のメンバーは定位置から銃撃と光学迷彩付きの車で他のゾンビや特殊部隊達を排除しているがどれだけ持つかは分からない。
なるべく耐久できるように多くの武装があるが何時まで持つことか…。
だが他に作戦はなかった。何度も戦ったから分かる。まだどのゾンビも本来の強さを生かしきれていない。
……つまりこれからまだまだゾンビは強くなる。
今のうちに叩かなければ未来は無い。これ以上強くなったら誰も勝てない。
「うおおおお!!!」
「aaaaaaaaaaaaa!!!!」
何度も攻撃を避けつづけ、同じ箇所に攻撃を叩き込み続ける。
だがこの方法では決定打になるには遅すぎる。チャンスを狙い秘密兵器を使わなければ勝ち目が無い…。
だが秘密兵器を使う隙を一ミリも与えてくれない!
「aaaaaaaaaaaaaa!!!!!」
「やばい!!!」
俺は精々ドア程度だというのに奴は車を勢いよく投げてくる。
メジャーリーガー涙目の速度で投げられる車は物理法則を完全無視し、カーブやスライダー。フォークやチェンジアップまで出してくる。
「いい加減にしやがれ!!!」
こんな物理法則に反した攻撃! 記者ぐらいしか…。
「aaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」
「瞬歩!?」
別の考えが頭によぎった一瞬で隊長ゾンビが迫ってくる。
ギリギリで全身の関節を外し、コンパクトサイズになる事で攻撃を回避。俺の顔面スレスレに拳が迫り、皮膚にかすった。
……拳法家。
「aaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」
「当たるか!!!」
大剣を持ち、さらなる追撃をしてくる。
だが何とか回避することができた。
……剣士を殺したのはこの俺。剣士の戦い方は誰よりも分かっている。
こいつとの戦いは大っ嫌いだ。仲間と戦うあの感じを思い出してしまう。
だが引くわけには行かない。
俺は覚悟を決めたのだ。仲間達に誇れる生き様を送るのだと。
必ず! お前を倒す!
「うおおおおおおおおおお!!!!!」
「aaaaaaaaaaaaa!!!!」
奴の攻撃を紙一重で避け、奴の胴体に手を当てた。
そして勢いよく発勁!!! 内部からグチュグチュグチュと肉体が破壊される音がする。
「これが本物の拳法家の技だ!!! 知識を得ただけだ使えると思うなよ!!!」
「aaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」
怒り狂ったような悲鳴を上げ、こちらに殴りかかる。
俺は後ろに跳び上がり回避すると、その際に拾っておいた小石を一斉に投げつける。
本来ならば散弾のように飛んでいく小石。
だが小石の一粒一粒がまるで意思を持ったように不可思議な挙動を取り、目や耳。関節といったうざったらしい個所へと当たる。
「これが記者の技! 戦場で武器無しで生き残る為に編み出した逃げの技! そして!」
怯んだ隙を突き再び懐に入る。
そして一閃!!! 奴の体に俺の刀が入り込み、肉が切れていく。
「これが剣士の技!!! お前に見せてやろう!!! ヘレティックのメンバー。その力を!!!」
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