ショートショート

貴矢 渚

一休さん

むかしむかし、あるところに一休さんという、とてもとんちのきくお坊さんがいました。彼の評判を聞いた将軍様は彼を呼び出し、ある頼み事をしました。「一休よ。そこの屏風に描かれておる虎が毎晩逃げ出して困っておるのだ。どうにかその虎を逃げぬよう捕まえてくれぬか。」すると、彼はこう答えました。「虎なんて、出さえすれば簡単に抑えられますよ。虎しばくより茶でもしばきましょうや。今淹れますね。」将軍様は動揺しました。あれがかの有名な一休か。粗野すぎないか。お坊さんがしばくとか言って良いのか。彼は一晩様子をみることに決めました。

 その晩、屏風の前で一休は縄を持ちただ虎を待ち続けていました。そして、遂に虎が屏風から出てきました。

 「おらぁぁぁぁああああ!!!!!」その瞬間一休は虎の前脚を掴み、見事な大外刈りを決め、虎を縛り上げました。そして、その虎を将軍様のもとに連れていきました。将軍様は言いました。「お坊さんなのに虎を縛り上げるなんて、なんという剛力だ。」一休さんは言いました。「頓知だけでやってたガキの頃とは違うんすよ。俺はあの時の千倍強ぇ。」将軍様は敬意を評し、彼に「千利休」の名を授けました。めでたしめでたし。

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