第2話 ノーパン手押し相撲、勃発
昼休みが終わり、教室に戻る。
俺――
隣には、あの
……そういえば。
思い出す。
元々、俺の隣の席って鈴野だったんだよな。
ただ、彼女が不登校だったせいで、ずっと空席だった。だから、俺は完全に孤立していた。ある意味では俺はマジの孤独だった。
なのに、今ではこうして隣に鈴野がいる。
ちらりと、彼女の横顔を盗み見た。
桃色の髪がさらりと揺れて、白いうなじが目に入る。
ちょっと色っぽいな、なんて思ってしまった俺は、もう末期かもしれない。
すると――
「……ふふっ」
鈴野が気づいて、ニヤッと笑った。
その笑みはどこか小悪魔的で、俺は思わず背筋を伸ばす。
やな予感がする……。
案の定、予感は的中した。
彼女は、スカートの
すらりと伸びた、まばゆいほど白いフトモモをあらわにしてきた。
おいおいおいおいおいおい!?
いや、マズいってそれは。
これ、もう見えてんじゃ――ギリギリでセーフ。ギリギリでアウト。いや、もうアウトかも!!
けど。けどもだ。
俺だって健全な男子高校生。興味がないわけがない。
その先が、どうなっているのか――見てみたい欲望も確かにある。
ダメだって……! 視線! 俺の視線、戻れ……!
必死で視線をそらそうとした、そのとき。
ビリビリッ……と、“気配”を感じた。
(……ッ!?)
前から。
鈴野の前の席――そこに座る同じクラスの女子『
見られてる!? な、なんで!?
反射的に、前を向く。
井野原の表情は読めなかった。振り返らなかったけれど、たしかに――俺を見ていた気がする。
なんだろう、この嫌な汗。
その後の授業は、まったく頭に入らなかった。
──そして、放課後。
「終わった〜〜〜〜〜!!」
「静かにしろ、バカ!」
どこかの席でそんな会話が聞こえる中、終了のチャイムが鳴り響いた。
俺は
「犬塚く~~ん♡」
えっ。
ぎゅっ――
鈴野が、俺に抱きついてきた。
「ちょっ……!? なにしてんだ、鈴野さん!!?」
柔らかい。柔らかい。いや、柔らかすぎる。
しかもここ、教室! クラスメイト残ってるって!
「いいじゃん、別に〜」
「いや、全然よくない! 注目されてるから!」
「気にしない気にしない」
ニコニコと無邪気に笑う鈴野は、まるで悪びれない。
いや、むしろ、わざとやってるのか?
だって今、たしかに……周囲の視線が痛い。
その中で、一際強い目線を感じた。
――井野原 了だった。
彼女は、席に座ったまま、じっと俺たちを見ていた。
うわ……やっぱ見られてる……。
そんな空気をもろともせず、鈴野は俺の手を取る。
「ね、帰ろう?」
「えっ」
まさかの、女子から下校のお誘い。
俺の脳内で、警報が鳴る。
なにこれ、どうすればいいの!? 現実なの!?
「……ちょっと、春」
その時、井野原さんが立ち上がった。
「なによ、了?」
二人の視線がぶつかる。ピリ……とした空気。
……あれ?
思わず、俺は呟いてしまった。
「……二人って、友達だったの?」
鈴野と井野原さん。
対照的な二人。ひとりは不登校の謎美少女、もうひとりはクールで無愛想。
接点がなさそうに見えたから、意外だった。
すると、同時に返ってきた言葉は――
「「腐れ縁」」
声が重なった。
「……なるほど」
納得した。なんか、妙にしっくりくる。
たぶん、幼馴染とか、そんな関係だろう。
だけど今は、どう見ても火花が散っている。
「犬塚くん、困ってるじゃん。ちょっと強引すぎるでしょ、春」
「そんなことないよ? ね? 犬塚くんは幸せそうだったもん♡」
にへっと笑う春。
それに対して、ジト目で睨む井野原さん。
……たしかに、今日一日はすごく幸せだった。
キスされたし、耳も食われたし、腕も組まれて、帰り道まで誘われて。
でも、その反面――
このままだと……修羅場、始まるんじゃ……?
俺はそんな不安を抱えながらも、立ち尽くすしかなかった。
女子の喧嘩の仲裁なんてしたことないからッ!
とはいえ、見過ごすことなんて出来ない。だから俺は止めることに。
「なあ、鈴野さん……」
「ねぇねぇ、面白いゲームしよっか!」
「……はあ?」
井野原さんも呆れ声を漏らす。
「絶対おかしいって、その流れ!」
「大丈夫だよ、ちゃんとルールあるから♪」
この時点で俺の嫌な予感センサーはMAXを突破していたが、なぜか井野原は「……まぁ、いいけど」と小さく返事していた。
え、受けるの!?
そして俺たちは、隣の空き教室――誰もいない静かな空間へと誘導された。
「……じゃ、発表するね。今回のゲームは――」
「ほうほう?」
鈴野がクルッと回って、恥ずかしげもなく言い放つ。
「ノーパン手押し相撲!!」
「意味がわからねぇええええええ!!」
俺の心の叫びが天井を突き破る。
誰が得すんだ、そのゲーム! むしろ命が削れるわ!!
「じゃ、いくね~」
と、鈴野はおもむろに――スカートの中に手を入れた。
「ちょ、おまっ……待て!! 待てって!!」
ずるっ、と小さな布が抜き取られる感触。
そして、その布をヒラヒラと振って見せる。
「はい、脱いだ~」
『ブシャァッ!!』
俺の鼻から、見たことない勢いで鼻血が噴き出した。
おいおいおいおいおい!! 脱ぎたて!? 本当に脱ぎたて!? いや考えるな俺、考えるな……致死量が来る!!
それでも、顔が火照って仕方がない。
俺の股間のワルサーP38が……いや、まだだ、まだ耐えろ俺!
そんな中、井野原さんの方に視線を向けると――
「……っ、あんたって本当にバカよね……」
真っ赤になった顔で呟く井野原さん。だが――
「え、まさか――」
「……ふん、やってやろうじゃない」
ゆっくりとスカートに手を伸ばし――
ついに、その“黒く大人びた布”をするっと引き抜いた。
『ブシャアアアアアアアア!!』
二発目の鼻血。これはもうダム決壊級。
な、なんてエロ……いや、恐ろしい勝負なんだ……! 俺が先に死ぬ……!
でも、まだ試合は始まってすらいない。
向かい合う二人の女子。
両手を構え、真剣な眼差しを交わし合う。
こ、これが……ノーパン手押し相撲……!
床には、黒い布と派手な布が落ちている。
まさに現場感満載。何やってんだお前ら。
でも、俺は……初めて見る現役女子高生の生下着に、感動すら覚えていた。
「いくよ、了――!」
鈴野が気合の声をあげる。
「その程度……来なさい!」
井野原さんも本気モード。
ひらひらと舞うスカート。そう、よく考えなくても――二人ともノーパンである。
こ、これは……想像以上に……エロい!!
鼻血が三段変化を遂げようとしていた。
二人がぶつかり合う。
「とりゃああああああ!」
「はッ!!」
バチンッと鳴る手と手の衝突音。
その瞬間――井野原さんのバランスが崩れた。
「了、あんたには覚悟が足りないっ!」
鈴野の一撃が炸裂。
グラリと体を揺らし――井野原さんは後方へよろけた。
その瞬間――
ふわり、とスカートが舞う。
み、見え――
『ブッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
俺は、鼻から致死量の鼻血を噴き出し――
視界が、真っ暗になった。
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