海への接し方

礼儀正しい怪獣がいた。

下手な人間より作法が正しく、見習う人間も出てきた。

大きいので、見習うのにこれほど都合のいいものもなかった。


ある時怪獣は、海を見て立ち止まった。


『なんだ?』

『なにか作法があるのか?』

人々は訝しがった。


怪獣は人の視線を気にせず、海に向かって頭を下げた。

「不躾に見てしまって、申し訳ありません」


これを見た人間は、衝撃を受けた。

衝撃を受けた人間のうち、全員ではなかったが、間違いなく影響が出た。


「つい見とれてしまっていました、すみません」

「今日は泳ぎに参りました。失礼します」

妙に海に気を使う日本人が、増えたのだ。


その様子は海外で、ニュースになるほどだった。

日本が見習われるのか、クレイジーと言われるのか。

それはまた、別のお話。

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