魂は、漂白できるのか?

 ある女性はプライドが高く、見栄を張って生きてきた。

 そうしなければ、社交界ではバカにされ、生きていけなかったのだ。

 お金がなくても、お金があるふり。

 食事がとれなくても、とっているふり。

 そうして彼女に必要な助けの手が差し伸べられることなく、呆気なく人生を終えることとなった。


 気付くと彼女は、雲の上にいた。

「おかえりなさい、今回の人生はいかがでしたか?」

 天界の住人、天界人はニコニコと彼女を出迎えた。

「悪くはなかったわ」

 彼女は、ついそう答えていた。


「あなたの人生は見届けさせてもらいました。もう無理しなくていいんですよ」


「……そう、隠してもムダってことね。わかったわ、見栄を張るのはやめる」

「賢明な判断です。……さて、次の生ですが」

「——次があるんだ?」

「カピバラ・亀・なまけものだと、どれがいいですか?」

「人間じゃないの?」

「ええ、カルマの関係で」


 彼女はしばし思案した。


「……その中だと、亀がいいかな」

「おや珍しい。理由をお伺いしても?」

「考えてもみて? なまけものや、カピバラだと、なまけてるって思われるじゃない? その点、亀だとどう?」

「——どうなるんですか?」

「なまけて歩いてても、頑張っているように見られる。もう見栄を張らなくてもいいのよ」


 天界人は優しく微笑むと、さらなる来世に期待することにした。

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