わざわざ連絡ありがとう
うん…… うん…… そっか……
分かったよ、わざわざ連絡ありがとう。
その…… 大変だろうけど頑張ってね。
時間が解決してくれるかもしれないしな。
うん、じゃあまた何かあったら連絡してくれよな、はーい、またねー。
ふぅ…………
あの後、タマコさん達は二人で自宅へと帰り、久しぶりに面と向かってじっくり話し合えたみたいだ。
旦那さんはタマコさんを愛しているけど、不倫をされた事はまだ許せない気持ちらしい。
愛しているけど許せない、そんな気持ちに加えて…… タマコさんが他人に抱かれている姿を想像すると、自分でもおかしいと思うくらい興奮してしまうようになってしまったとか……
でもだからといって、タマコさんにこれからも浮気をして欲しいという訳でもなく、もう二度とタマコさんを他の男に触れさせたくないという…… とにかく今の旦那さんは色々な感情がごちゃ混ぜになって、非常に不安定な状態らしい。
そして話し合いをした日は旦那さんに帰らないでくれと言われ、そのまま自宅で朝を迎えたらしいが…… その後のタマコさんは一人暮らしをしているアパートに戻っている。
それでも毎日数回、メッセージや電話で連絡を取り合い、週に一回くらい自宅に戻り、一緒に食事をしたりして過ごすようにしているとか。
とにかく、まだ一緒には暮らしたくないけど、タマコさんの存在が確認出来ないと不安なようで…… タマコさんは旦那さんが許せるようになるまで離れて生活しながら待つ、こんな生活を続けると決めたみたいだ。
『突然怒り出したり、泣きながら抱き着いてきたり…… 本当なら離れて暮らした方がいいのは分かっているの…… でも…… 私は主人がどんな決断をしてもすべて受け入れるって決めたから、主人の答えを待って、主人の言う通りにするわ』
と、タマコさんも言っていたので…… 後はもう、タマコさん夫婦が時間をかけて解決していくしかなく、あたし達に出来る事は…… ただ話を聞いてやるくらいだ。
しかしなぁ…… はぁぁぁ……
愛情が深いと、裏切られた反動って凄いんだなぁ……
もしも…… もしもの話だが、あたし達に子供がいなくて、タマコさん夫婦と同じような事になったら……
うぅっ…… パパが泣き崩れる姿を想像したくない。
こんなあたしを、こんなに愛してくれる人はパパしかいないと思っているから、そんなパパを傷付けてしまったら…… あたしも罪悪感で消える事を選ぶかも。
ぐすっ…… 泣きそうになってきた……
こんな時は家族写真を見て癒されよう。
パパと付き合っていた頃のデート中の写真。
同棲を始めた時、結婚した時、カンナが生まれた時、カンナが成長していく姿、ワタルが生まれた時、マイホームに引っ越して来た時…… たくさんの写真をわざわざ現像してアルバムに残し、いつでも見られるようにリビングにある棚に保管してある。
いつでも…… パパとの、子供達との絆を確認出来るように。
ふふっ…… どの写真も幸せそうな顔で笑っているなぁ、あたし……
ふぅ…… よし! 元気出てきた!
これからも家族みんなが幸せそうな顔をして笑えるように過ごすには…… いつまでも暗い気分になってちゃダメだ!
さてと、じゃあまずは…… 買い物に行こう!
…………
ふぅーっ、しかし暑い日が続くなぁ…… 外に出るだけで汗が止まらない。
自転車で移動しているけど、さっさと買い物を済ませちゃわないと暑さで溶けちゃう!
スーパーは最後にして、まずはドラッグストアに…… んっ? あ、あれは!
あそこに停車している軽トラに段ボールを積んでいるのは…… コマンダー常磐の元店長…… だよな?
何か前に見た時より痩せて…… 頭の毛が少し寂しくなっているような……
「さっさと積み込みなさい! この商品は午前中に届けなきゃいけないって言ってるでしょ? それと帰って来たら倉庫で商品を受け取って今日中に仕分けをしておいて、あっ、あと、在庫チェックして足りない商品を補充もよ」
「は、はい……」
「あんた、そんなチンタラしてたら間に合わないわよ!」
「はいぃぃ……」
うわぁ…… 奥さんにめちゃくちゃこき使われてるぅ……
不倫した罰と、奥さんに立て替えてもらった慰謝料の返済のために飼い殺し状態だとは聞いていたが、まさか容姿があんなになるまでこき使われていたとは……
あのふくよかな身体がたった二ヶ月程度で変化が分かるような身体になるなんて…… 私生活も監視されているみたいだし、もう悪さをする暇もないらしいが…… 自業自得か。
まっ、あたしにはどうでもいい話だし……
それよりもあたしが気になっているのは……
座間ショウコ…… 高校時代、モモの幼馴染に寄り添うふりをして、モモに復讐する事を唆していたっぽい女……
そんな女がタマコさんの旦那さんに近付こうとしていたなんてな……
一応タマコさんに二人とも気を付けるようにと伝えておいたが、タマコさんの話だと旦那さんと座間ショウコは面識はなく、しかも飲み会の時の記憶がなくて、何を話したかすら分からないらしい。
その事をパパに伝えると……
『うちの会社でもヒロミさんの会社の関係者じゃないとなると…… もしかしたらもう一社の方の社員だったかも…… それなら俺もヒロミさんも知らなくて当然だし、しかも急遽参加していて…… 何か嫌な感じがするな』
まるで旦那さんを狙って参加したようにも思える。
タマコさんに裏切られて傷心中の旦那さんを……
そういえば、高校時代もモモの幼馴染の隣にいつの間にかいたんだっけ?
うーん…… 不気味だなぁ……
人の不幸を喜ぶタイプの女みたいだし、出来れば関わりたくない。
うん、これ以上詮索したり話題に出さないようにしよう。
あっ! 一応モモにも知らせておくか。
パパの飲み会に参加していたという事は、もしかしたら生活圏が近いかもしれないから、バッタリ出くわしたりしないように注意しておかないと!
はぁ…… 何だか最近、モヤモヤする事続きだなぁ……
こんな時は家族でのんびり過ごしたい。
そうだ! 次の連休は旅行したいな!
へへへっ、パパに相談してみよーっと。
…………
…………
◇◇◇
「ふふっ、どこかで見た事あるなぁって思ったけど、あの女…… 高校の時に騒がれていた、あの『三股浮気女』じゃん、ふふふっ」
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