悪役令嬢に転生したのでヒロイン落としてもいいですよね?まずは最強の幼馴染みの助けを借りて攻略キャラを蹴落とすことから始めましょうか
第18話 相手になりませんね、でも何でこのタイミングでこのイベントが!?
第18話 相手になりませんね、でも何でこのタイミングでこのイベントが!?
「おい、今年の一年生なんなんだよ……」
「規格外過ぎないか……?」
「そういえばこの間の放送室占拠もあの五人だって聞きましたけど」
「あの問題児五人組ですね、そのリーダーが今回の魔法祭にご執心とか」
「リューデスハイム家のご令嬢だろ? 他の人はいいとして、なんで皇太子殿下まで引き連れていらっしゃるんだ?」
「確かアベル様はハイネ様にご執心って話を聞いたことがありますわ」
「惚れた弱みってやつか?」
「でも仕切ってるわりに本人活躍してないじゃない」
魔法祭の休憩時間、方々から聞こえてくる潜められていないひそひそ話に冷や汗が止まらない。
「……ま、そーなりますよね、あまり気にする必要ないですよハイネ様」
「ありがとうセリム……」
私はセリムから手渡された水を一口飲んで息を吐き出す。
第一科目は魔法的当て、不規則に動く的に当てるには正確な魔法の操作が必要になってくる。
はっきり言ってセリムとアベルの独壇場だった。
セリムのフレイムランスは正確に的を砕き、それに負けないくらいの精密さでアベルも的を次々と割っていった。
そして第二科目、障害物競走、これに関しては最早セリムとシグナの実質タイマンみたいなもの。
下手すれば怪我しそうな障害物の中をずんずん進んでいく二人についていけるものもいるはずもなく、一位はギリギリの差でセリムが勝ち取っていた。
続く第三科目は女子対抗綱引き。
はっきり言ってこんな泥臭い科目が一応貴族向けの学校で、しかも何故か女子だけの科目であっても良いのだろうかと思ったけど、アルミア魔法学園は魔法の育成に明るい学園だからこれもありなのだろう。
そして勿論魔法学校らしく魔法での邪魔や補助をしてもいい。
となればユーリがいるこちらが有利になるのも当たり前のことでユーリが皆にかけた補助魔法のお陰で特に苦労することもなく勝利した。
その結果として今のこの現状に至るわけだけど。
え、何、私達問題児五人組って呼ばれてるの?っていうか誰がリーダーだ。
そしてアベルが私に惚れてるとか気持ち悪いから噂でも止めて欲しい。
仕切ってるわりには役に立っていない……というのはまぁ事実なので甘んじて受け入れる。
「どうも、ハイネ壌」
「アニ様」
悶々と考えていれば今のところ二位という順位に落ち着いているアニが余裕綽々といった様子で現れて声をかけてくる。
「凄い快進撃だね、あなたは何もしていないように見えるけど」
「そうね、私の友人達は皆優秀でありがたいです、私は……これから頑張りますわ」
やはり流石小悪魔、痛いところをついてくるけどきっとこの後に私の出番もある筈。
何故ならこの魔法祭には魔法に関するクイズ大会があり、私は勿論そのすべての正解を覚えているのだから周りには必ず引けを取らない。
周回プレイヤー舐めるな。
「そっか、でも残念、快進撃はここまでだよ、次から巻き返すから」
アニはさして残念そうでもなくそう言ってただにこにこ笑う。
逆になんでアニがここまで余裕をかましているのかもまた私は知っている。
「それはそれはとてもやる気がたぎっていて何よりです……セリム」
「はいよー」
私の合図でセリムは私とアニの間に割って入ってそっと展開された魔法がこちらに届く前に軽く手で凪払う。
「っ……」
「何の役にも立たない私本人に何かしようとしても無駄ですよ、私には最強の幼馴染みがついておりますから」
今しようとしていたのがなんなのか、端的に言えばアニが得意とする精神に作用する魔法。
それを使われてしまえば内部から崩すのも簡単だろう。
本来だったらこれもアベルに向けて使われるもので、阻止するかしないかを選ぶのはユーリなんだけど、会話の入りかたが一緒だったからどのイベントなのかはすぐに分かった。
こういうことをするからファンから小悪魔通り越してるなんて言われるのだ。
それにまぁ、言わなくてもセリムならなんとかしてくれたと思うけど。
「……別になにもしないよ、ま、次の試合を楽しみに――」
「ハイネ! しゃがめ!!」
「えっ、きゃあ! な、なに!?」
少しだけ眉間にシワを寄せた後にアニはまた笑顔で取り繕おうとしたけど、それはセリムによって遮られる。
引っ張ってしゃがまされた上空に沢山のつむじ風のようなものが発生し、運動場の砂が巻き上げられて一瞬で視界が遮られる。
そしてその瞬間、きゃあ!という叫び声が耳に触る。
風の轟音で耳があまり機能しなくてもその声はよく耳についたし、そしてその声で全てを理解した。
「この声は……ユーリだ!」
声はセリムにも聞こえていたようで慌てた様子で顔をあげる。
「……え、そんな、何で」
こんなに早くこのイベントが開始しているんだ。
『全校生徒に告ぐ! 早急に近くの教員の元に集まりなさい! そして学校内に避難を! 全生徒に……そ……きゅう……』
魔法拡声器で拡声された教師の声も途中で途切れる。
それもその筈、このアルミア魔法学園の永い歴史のなかでここまでの襲撃を受けたことなんてないからだ。
だからユーリも
「……オレ達も早く避難を、ユーリにはシグナがついてる、アベルは……やられらような玉じゃない、それに王子だから既に護衛が動いてるだろだから――」
「ダメよ!」
私は冷静に解析するセリムの言葉を遮るように怒鳴る。
今の私が冷静じゃないことは自分が一番よく理解はしているしセリムが正しい、それでも止まれない時は、ある。
「何でだよ!」
「……だって」
このままだと、ユーリが、誘拐されるからだ。
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