第26話 アトリエ
案内人として獣人の少女、マタタビと行動するクウガとアリス。
「気になったのだけど禁忌領域には貴女以外にも獣人はいるのかしら?」
「いないにゃ。2年前に両親が死んで獣人はにゃ〜だけにゃ」
「ごめんなさい」
家族を失っていたマタタビ。まさかそんな事になっているとは思わなかったアリスはすぐに謝る。
「気にする必要はないにゃ。そんな事よりも中心部はにゃ〜もなるべく行きたくないにゃ」
「何でだ」
「バケモノがいるにゃ」
マタタビは強い。そのマタタビがバケモノと呼ぶとなると相当強いのだろう。
「バケモノですって」
「良い運動になるといいな」
「呑気にゃね。見たら絶対驚くにゃ」
そんなバケモノがいるという中心部には、
「ドラゴンだ」
「本当ですね。存在するんですね」
「呑気だにゃ〜。それでどうするのにゃ? あいつはこっちに気づいてるにゃ」
「そのうようだな」
ドラゴンはクウガたちのいる方向に向かって炎を吐く。クウガは2人を両脇に抱えて躱す。
「中々の速さの攻撃だな。威力も充分」
元々いた場所よりも広い範囲が焼失していた。それを見て、
「どうしますか? アリス様」
「そうね。今日中に片付ける必要はないしもう少しだけ禁忌領域を探索しましょうか。何やら面白い場所があるようだし」
「面白い場所? そんなものにゃいはず」
「気づかないのも無理はないわ。強力な結界で守られている。オズワルドの魔法使いであっても気づかないレベルの結界でね」
「魔人の仕業ですか?」
「魔人の魔力ではないわね。ただ感じる魔力は強力ね。それこそ魔人に匹敵するレベルのね」
そう言ってアリスの案内で中心部から離れた場所に移動する。そこには木造の一軒家があった。
「道中に色んなバケモノがいたのにここだけ無傷か」
「結界のおかげだね。入ってみようか」
そう言って建物に入る。そこには大量の本があった。
「凄いね。とりあえず読んでみようか」
「了解」
「この量をかにゃ? しかもにゃ〜もか」
「当たり前だろうが」
「クウガ、違うでしょ。手伝ってくださいでしょ」
そう言って頭を下げるアリスに倣って、
「お願いします」
クウガも頭を下げてお願いする。
「わかったわかったにゃ! 頭を上げるにゃ!」
(バケモノみたいな強さを持ってるのに簡単に頭を下げるにゃよ。調子が狂うにゃ)
こうして3人により本を手当たり次第読むと、
「どうやら錬金術師がこの建物を建てたようだね」
「錬金術師? 何ですかそれは?」
「失われた技術よ。例えば土を金属に変えたりするの」
「そんにゃ技術が何故失われたにゃ?」
「少し待ってね」
そう言ってアリスは手に持つ本を読み進める。
「うん。どうやらこの本を書いた人物は魔力を別のモノに錬金する術を手に入れたのは良いけど魔法使いを筆頭とした人間たちが強大な力を恐れて迫害したそうね。それで禁忌領域に逃げ込んでここにアトリエを錬金して結界を張ったそうよ。そしてここに最初に訪れた者に技術を与えるそうよ」
「ならアリス様が?」
「ん〜私は予定通り中央で力を手に入れるからいらない。クウガは?」
「俺は今のままでも充分強いのでいりません」
「そうだよね。じゃあマタタビにあげる」
「えっ? にゃ〜がか。でも使えるのかにゃ? にゃ〜に出来るのかにゃ〜」
「問題ないよ。私が見た感じ魔力量な充分ある。後はこの本を読めば出来るみたい」
「そんな簡単に出来るのかにゃ」
そう言って本を受け取りマタタビは本を読む。
「うわっ! 分かりやすいにゃ! これやばすぎるにゃ! この本を読めば誰でも錬金術師になれるにゃ!」
「そんなに簡単なんですか?」
「うん。この本の著者は天才だよ。マタタビの言うように本と魔力があれば誰でも錬金術師になれるようにしている。もちろん魔力量に応じて実力に差は出るけどね」
「これはやばいにゃ。今ならあのドラゴンも殺せるにゃ!」
「それじゃあマタタビにお願いしよっかな。最後まで案内よろしくね。マタタビ」
「任せろにゃ」
そうして錬金術を手に入れたマタタビは、
「錬金‘弾道ミサイル’」
アトリエに出るなり魔力からミサイルを100錬金してドラゴンに向けて一斉発射する。もちろん発射されたミサイルに何もしない訳がない。口から炎を吐いて全てを迎撃するが、
「錬金’音響兵器’」
周りに兵器が展開されてそこから音の攻撃がドラゴンを襲う。兵器を破壊しようにも聴覚を破壊されて感覚が鈍る。そんなドラゴンに追い討ちをかける。
「錬金‘荷電粒子砲’」
現状のマタタビが錬金出来る最強の攻撃方法によってドラゴンは跡形もなく消える。
「やったにゃ〜! ドラゴン討伐にゃ〜!」
嬉しそうにするマタタビ。
「これで中心部に行けるね」
「そうですね」
いよいよ中心部にてアリスは魔神の力を得ようとする。
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