第12話 アルフリートvsカズキ
「つまらないわ。お父様。私も帝国の人間を焼きたい」
「ダメだよ。君の姿を拝謁するに値する程の者。五点星が出るまでは我慢だ」
ミサイルを迎撃していたアルフリートは飽きていた。最初は的当てみたいで楽しかったようだがすぐに飽きてしまっていた。
(まだまだ子供で飽きっぽい所はダメだな。しっかりと教育しなくてはな)
オッズはこの戦争でアルフリートに成長して欲しいと思っている。しかし、それが駄目でも良いと思ってはいる。
(アルフリートが女王になっても子供である以上は政治なんて出来はしない。実権を握るのは私なのだからな)
アルフリートは最年少の女王候補だ。そんな彼女に政治を任せる気なんてオッズにはない。
(理想は大帝の首だ。しかし、ソール家の小娘の魔法ならば敵を無視して大帝に辿り着く事が出来る)
ソール家長女の魔法をオッズは知っている。それがチート能力である事を。
(最低でも五点星の首を取った功績で政治に口出し出来るようにしなくてはな)
大帝の首を取れなかった時の事も考える。そんな時に移動弾がミサイルに紛れて戦地に向かって来ていた。それをアルフリートは焼き尽くすつもりで蒼炎を放つ。轟音が響き爆炎が空に広がる。そんな爆炎の中から、
「五点星、カズキ。大帝国の敵を打ち滅ぼす!」
無傷のカズキが槍を持ってアルフリート目掛けて飛んでくる。
「それはムリよ。貴方はここで死んじゃんうから」
蒼炎がカズキを襲うが、
「無駄ぁ!」
槍を高速回転させて炎を散らす。
「曲芸師みたいね。でもそれだけでは私には勝てない」
地面から蒼炎が噴き出してカズキを飲み込んだのを見てオッズは、
「ここは任せたよ。ミサイルの処理は私が請け負う」
「任せる? あの敵は死にましたよ」
「まだまだ甘いね。良く見なさい」
炎から無傷のカズキが出てくる。
「どんな手品を使ったのですか?」
「ん? 手品じゃない。これは人間の技術の結晶だよ。あの程度の炎よりも装備の耐火性能の方が上だ」
「そうですか。手品ではないなら何の問題もありませんね。火力を上げればいいだけ」
そう言って自分とカズキを蒼炎のドームに閉じ込める。
「蒼炎のアルフリート。全力でお相手します」
火球がアルフリートの周りに浮き上がる。それを迎撃するために槍を構えるカズキ。
(熱い。言葉通り火力を上げたな。さっきのでも耐火性能で防げるギリギリだったんだ。こっからは全力で躱わすか迎撃するしかねぇ)
余裕そうに見せていただけで実際は予想以上の火力に焦っていた。
(火を出すみたいなシンプルな魔法使いの実力は魔力量によって左右される。つまりこのお嬢ちゃんはオズワルドでもトップなんだろうよ)
カズキの考えは正解だ。アルフリートの魔力量は女王に次いで2位だ。そんな彼女の炎魔法の火力はオズワルドの歴史でも随一だ。それでも、
「悪いなお嬢ちゃん。炎魔法は研究済で研究対象外だ。遠慮なく殺すぜ」
「可笑しな事を言いますね。死ぬのは貴方です」
襲ってくる火球を全部カズキはかき消す。
(? おかしい。もう既に触れただけで鉄が溶ける温度になっているはず)
不思議そうな顔をするアルフリートに、
「これが大帝国の技術だ。魔法を打ち消す武器を作ったんだ。まぁ、貴重なものだから俺たち五点星しか持ってないがいずれは量産予定だ」
種明かしをして襲うが、
「近寄らないで」
炎の壁を作るも、
「無駄ぁ!」
槍によって掻き消す。しかし、炎の壁を掻き消したら目の前に火球が迫っていた。
「舐めないで」
火の壁は守備ではなく目眩しとして使用した。しかし、
「舐めてんのはどっちだ」
器用に槍を扱い襲ってきた火球を掻き消していくカズキの足元から炎が襲う。
「うおおおお!!」
悲鳴を上げるカズキ。
「先程よりも高温で範囲も広い。ひとたまりもないでしょう」
今度こそ殺したと思い炎のドームを消す。
「お手伝いをしなくては」
合流しようと思ったのだが、
「甘いんだよ! 小娘!」
ボロボロになりながらもカズキが襲いかかって来る。それに動じる事はなくアルフリートは、
「
蒼炎で出来た剣で焼き斬る。
「く、そ、、がぁ」
ドサリと音を立ててカズキは倒れるのであった。
「甘いのはそちらです。接近戦が出来ないとお思いになった時点で貴方の負けだったんですよ」
五点星、カズキ死亡。これにより南エリアの陥落は確定するのであった。カズキ死亡の報告は東エリアのクルーズに当然入る。
「カズキが死んだか。お前と重力魔法のお嬢ちゃんはは生け取りにする予定だったが変更だ。殺す」
「やってみろよ。返り討ちにしてやる」
ライガvsクルーズ開始!
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