第五階層:想いをひとつに!(2)
確かにこの場では唯一の大人であり、僕たちと違って社会とのしがらみも色々とあるはず。だからすんなりと同調してくれるとは限らない。
ただ、そんな僕の不安はすぐに
「……いつの間にか僕もこのクラスの一員として、みんなの輪の中に入っていたんだなぁ。それを気付かされたよ。それにまさか僕まで心を動かされることになるとは、自分でも想定外だった」
「意味が分かんないっ! どっちなのっ? 優柔不断な男は嫌われるんだぞっ?」
すると
「もちろん、全力でみんなに協力するよ! 教師や出向元の組織をクビになるかもしれないけど、まぁ、人生なんとかなるだろうっ!」
「また意味が分かんないこと言ってるぅ。何なんですかぁ、出向元の組織って?」
「僕もみんなに対して正直に話すよ。
「えぇえええええぇーっ!?」
まるで教室全体がひとつの大きな生物にでもなったかのような感じで、僕を含めたクラスメイトの全員が声を揃えて驚きの
灯台もと暗し。こんなにも近くに研究者のひとりがいたなんて、思いも寄らなかった。冷静に考えれば、合理的な話ではあるけど……。
だってもし僕やミキさんに何かがあっても、すぐに対処に動けるもんね。
依然としてどよめいている僕たちを尻目に、
「ふたりの転入先として適しているクラスかどうか見極めるため、僕は一年前から教師としてここに出向していたんだ。もちろん、それはそれとしてきちんと教師としての仕事もしっかりしていたつもりだ。みんなはその僕の頑張りを分かってくれているだろ?」
「……どうかなぁ?」
「怪しいところだよね……」
「ノーコメント」
「
「思い込みの激しい大人ってヤダ……」
教室のあちこちから、
一方、さすがにそうしたみんなの反応は想定外だったのか、
「おいおい、みんなしてそれは酷いじゃないかぁ……」
「あははっ、冗談ですよっ!
――そんな軽い冗談を言い合えるような関係、それは僕たちや
事実、笑い声が収まった直後には一転してあちこちから
「でも
「うちの定食屋は月に一回くらいなら無料でランチをサービスするよ」
「四十歳になるまで独身だったら、私が結婚してあげてもいいよ?」
「は? それなんて罰ゲーム?」
「ひっどーい! 罰ゲームなんかじゃないよ!」
その後もみんなは冗談を交えつつも口々に意見を交わしている。そこに僕は温かな雰囲気と優しさを感じる。本当に良いヤツばかりだ。
この空気の中にいられること、それが
そんなことを考えていると、
「
「いえ、僕はそんな……」
「大人の側の交渉は僕が担当する。力が足りないかもしれないけど、
「……ありがとうございますっ!」
「感謝します、
僕とミキさんは深々と頭を下げた。そんな僕たちやそれを穏やかな瞳で見守る
こうして
ただ、そんな意気揚々としたいた矢先、それを邪魔するような事態が巻き起こる。
なんと不意に僕たちの教室に黒服を着た数人が
(つづく……)
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