トモダチAI ~僕らは手を繋いで未来へ~
みすたぁ・ゆー
第一階層:トモダチAI(1)
「
街中を彩るソメイヨシノの花々はほとんど散り、通学路にはピンク色の
今、最初のホームルームを迎え、黒板の前に立ってクラスメイトたちに自己紹介を終えたところだ。ただ、あまりの緊張で精神は限界ギリギリ。ほんの数秒前のことなのに、どんな表情をして何を
席に戻ってからも未だ頭が少し混乱しているし、顔全体もなんだか熱い。
依然として周囲からは多くの視線を感じる。きっとホームルームが終わり次第、みんなが僕のところへ集まってきて、色々なことを根掘り葉掘り
そんな感じで僕はちょっと
「さて、実はこのクラスに転入するのは
するとその直後、ディスプレイに表示されたのは僕たちと同じ紺色のブレザーの制服を着た女子のCGイラスト。外見はロングの黒髪をストレートに伸ばし、顔立ちは端正で可愛らしい。瞳は人懐っこそうな感じをしている。
今は肩から上だけが映っているけど、設定を変えれば全身も見られるのかもしれない。
それと現在のAI技術ならもっと実写に近い姿を描き出すことも出来るだろうけど、どちらかというとゲームやアニメ、バーチャル動画配信者などに近いデザインになっている。
「――初めまして。私は文部科学省を中心とする官民共同プロジェクトで試験的に制作された『トモダチAI』のミキです。『AIは人間の友達になり得るのか?』というテーマを研究するために開発されました。皆さん、よろしくお願いします」
透き通ったような高音の声でそう言うと、ミキさんは
「おぉおおおおおおぉーっ!」
直後、教室内のあちこちからクラスメイトたちの
まぁ、僕自身も
彼女の見た目に関しては、一般的なゲームなどのキャラクターと変わらない。これに関してはリアルすぎない方が緊張せず、親しみが持ちやすいということであえてそうしているのだと思う。
もちろん、表情が豊かで適切な間や
市販されているボイスロイドなどではどうしても単語と単語の間に違和感があったり、アクセントがおかしいように感じたりする部分が多少なりともあるものだ。でもミキさんの場合、そうした違和感が全くない。
自己紹介というありふれたシチュエーションでのことだから、予め収録されたものを出力しているだけという可能性もあるけど、それならそれで別の驚きが出てくる。
それは『自己紹介をする』という判断をミキさん自身が選択し、それを出力したということ。だって
つまり彼女は場の状況や雰囲気などから自分が何をすべきか判断し、結果として『自己紹介をする』という判断に至ったということになる。
コンピュータやプログラムは命令や指示に従って結果を出力する。ただ、彼らはそうした単純なことは得意でも、雰囲気や表情、文脈といった
つまりそのためには気の遠くなるような大量のデータを事前に蓄積しておくか、少ない情報を元に
まぁ、人間の脳はあの小さな体積でそれを遙かに上回る量の情報を高速で処理しているんだから、それはそれで神秘的で
いずれにしてもミキさんはそうしたことをすんなりとやったから、僕は興奮せざるを得なかったわけだ。頭も思わず熱くなる。
――そっか、ミキさんはどこかに設置されているサーバーにネットを介して常時接続していて、あのタブレットは入力や出力をしているだけという形なのかも。クラウドシステムというヤツだね。
それならあの小さなタブレットで複雑な処理が出来ていることなど色々と納得がいく。もちろん、基本的な処理や各種プログラムの実行はタブレット内でも
人間でいえば、脳と肉体が別々の場所に存在しつつも常に情報のやり取りをしているかのような感じ。
…………。
……まさか人間の脳も別次元のどこかにあるサーバーみたいなものに未知の電波で接続して、情報を処理しているってことはないよね? 都市伝説界隈ではそういうような話も出ていると、何かで見聞きしたような気がするけど……。
僕はそんなことを考えながら、ミキさんと
(つづく……)
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