第二話 どうしたらいい
本当は母親を思いっきりぶん殴りたかったけど、今は警察もいるし香奈梨はもう死んでしまった。手遅れなのだ。あたしはそっと母親をおろした。妹の死、母の裏切り。どうしていいかわからなかった。おいおい、大事な話忘れてるだろって?ふんふん。あ〜父親が出てないって?親父はね、あたしが10歳くらいのときに急にいなくなったんだよ。今は気にしてないけど、当初は悲しかったなあ、、、。話戻すよ。あたしはあたし自身がどうすればいいかわかんなくなってた。自分の気持ちだけ取り残されたまま、時間は淡々と過ぎていく。どうしたらいい?そう自分にずっと問いかけていた。その後、調査がされたが他殺の可能性はないとされた。そして19歳になり家を出ることにした。けどまたあの時のことがフラッシュバックする。あたしは家を出たあと、母と絶縁しようと思っていた。けど最後に聞きたいことがあった。香奈梨の血縁者についてだ。しつこく聞くと母は観念したように口を開いた。あまり話したくなさそうだ。 「はあ、、、。しょうがないわね、、。」 内心しょうがないわね、じゃねえよとツッコんでいた。 「あの子には本当の兄弟がいたの。お兄さんが。仲が良かったらしいんだけど、家計が苦しくて両親があの子を切り離したのよ。お兄さんは最後まで反対していたそうよ。」 その話を聞いたあたしは罪悪感でいっぱいになった。お兄さんは本当は嫌だったけど次の里親を信じ、自分の大切な妹をあずけたのだ。なのにあたしは妹を、、、香奈梨を救えなかった。ごめんなさい。心のなかで謝った。けどそれだけじゃだめだ。だからあたしはその人を見つけ出し謝りに行くことを決めた。あたしは少しだけ軋む階段をのぼった。大好きな妹がいたはずの部屋のドアを開ける。当然誰もいない。あたしはせめてそのお兄さんに妹のものを渡そうと思っていた。ついでに妹が死んでからずっとやっていなかった掃除をした。胸が痛むけど、ずっと取っておけないからいらないと思ったものは処分した。そんな作業を続けること一時間。棚の奥深くに違和感を感じた。一つの棚の底だけ異様に盛り上がっているのだ。盛り上がっているというか、凸凹があって段差になっている。段差の部分をスライドさせると出てきたのは日記だった。見ていいのだろうか?そう思いつつも気になってしまい日記を開いた。そこに書いてあることは、とても衝撃的であたしは膝から崩れ落ちた。
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