第4話 紫色の化け物!? 魔法の力!
私の視界に紫色の人型の生物が移った。
紫色と言っても綺麗な紫ではない。
見た目から絶望と言う言葉が連想されるような、毒々しい紫である。
この世界の敵、シサーガだ。
そいつは向かってくる清水さんに向かって言った。
「おい、てめぇ、この前は良くも邪魔してくれたな。今度は容赦しねぇから覚悟しろ。」
そして全身から紫色のたまのような物を飛ばした。
スピードがとても速く、落ち着いていられる状況でもないので、それが何なのかは良くわからなかった。
清水さんは人間とは思えないジャンプ力でれをかわした。
驚いている私に例の少女、サーヤが言う。
「この世界では、高く跳ぶための魔法を習得出来る素質さえあれば、誰でもあれくらいの事は出来るのよ。でも、あの子着地が下手なのよね...」
サーヤがそういった瞬間、清水さんが転けた。
シサーガはその隙を見逃さず攻撃した。
紫のたまが清水さんにあったって、彼女は吹き飛ばされて倒れた。
かなりの衝撃があっただろうが、彼女は力を振り絞ってすぐに立ち上がる。
「あんたみたいに、目的を遂行するためには人の命を犠牲にする事も厭わないような化け物に、願いを叶えられる石なんて渡す訳ないじゃない。ミラクルトウェルブ、赤の魔法!」
そう叫ぶと空中の1点から赤いたまが現れて、シサーガに直撃した。
シサーガはけたたましい悲鳴を上げて倒れると黒色の液体と化した。
これまた綺麗な黒ではなく、どす黒い、闇を象徴するような黒だ。
正直言って気持ち悪い。
だいたい今の一連の出来事が何だったのか私にはあまり理解出来ていない。
サーヤに詳しい話を聞こうとした時、人が倒れるような物音がした。
その方向に注意を向けると倒れている清水さんの姿がそこにあった。
先程のシサーガの攻撃のダメージで倒れたのだろう。
近寄って声をかけても反応はなかったが、息はあるが確認出来た。
「どうすんのよ?」とサーヤに言う。
「とりあえずトウェルブキャッスルまで運びましょ。そこに行けばなんとかなるわ。」
周りに枯れかけた神秘的な桜の木々があったあのお城はトウェルブキャッスルというらしい。
しかし、とりあえずトウェルブキャッスルに運ぼうとは楽観的すぎないか笑
人の命が危ないというのに...
病気を直す魔法があるとでも言うのだろうか。
まずどうやって運ぶというのだ。
わからない事が多すぎる。
そう思っている私の側でサーヤが地面に手をかざす。
すると、私の視界は閉ざされた。
気がつくと、私たちはトウェルブキャッスルの中にいた。
これが瞬間移動なのか何なのかはわからなかったが、私はもうこの時には不思議な現象が起こり得ることには慣れつつあった。
清水さんを別室のベッドに寝かせると、サーヤはご飯にしないかと言った。
そのベッドは負傷した人の怪我や傷を直す力を持っているらしい。
ただし、病気を直す能力は備わっていない、と彼女は付け加えた。
清水さんのことは心配ではあったが、心配してどうにかなる問題でもないだろうし、サーヤがベッドで回復すると言うし、お腹もかなりすいていたので私はご飯を食べさせて貰うことにした。
ご飯は私が前に住んでいた世界とは見た目も味も全然違ったので、最初は戸惑ったが味は絶品だった。
ご飯を食べ終えると、「魔法を使う訓練をしましょう。」とサーヤが言った。
私が同意すると彼女は私を別室に案内した。
そこには小さいテーブルが沢山あり、それぞれのテーブルの上にはボールが置いてあった。
ボールの色は赤、緑、黄色、青であった。
彼女は私にどこでもいいから好きなテーブルの上に立ってボールが浮くように念じるように言った。
以前の私だったらそんな馬鹿らしいことをすぐにやってみる気にはならなかっただろうが、この世界では前の世界の常識が通用しないとわかり初めていた私は、すぐにそれを実行する気になった。
最初は念じてもボールは何の反応も示さなかったが、「念じる力が足りない」というサーヤのアドバイスを聞きながら2、3回繰り返すうちにボールは私が思った通りに浮くようになった。
サーヤは念じることが魔法の基本だと言った。
清水さんもこのようにして魔法の力を習得したらしい。
彼女は魔法を使う訓練でボールを浮かせられるようになるのに丸一日かかったらしい。
ちょうどその時清水さんが別室から顔を出した。
「みんな、おはよぅ。」
「この世界はもう夜よ。」
サーヤが言う。
清水さんはまだ寝ぼけているのだろうが、彼女の姿を見てあのベッドによる傷の回復能力が凄まじいことは一目でわかった。
シサーガの攻撃を受けた事によって出来た傷が全て消えているのだから。
「そっかぁ。おやすみなさい。」
そう言うと清水さんはその場で眠ってしまった。
「はぁ。全く、、」
私がそう呟くとサーヤは「今日は疲れたでしょ。もうおやすみにしましょう。」と言った。
「じゃあそうさせて貰うわ。」
サーヤに案内されて寝室に行き、毛布を被って電気を消した。
その夜、私はなかなか眠れなかった。
慣れない場所だったから眠りずらかったという訳ではない。
私は家族や友人のことについて考えていた。
彼らはどうしているのだろう。
お母さんやお父さんは私のことを心配しているだろうか。
クラスメート達は元気だろうか。
そもそも私の存在は元の世界ではどうなっているのか。
行方不明になっているのか、存在そのものが無かったことにされているのか。
そんなことを考えると気が気ではなかった。
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