神話の領域、その邂逅

 <新宿ダンジョン 69層>


 俺が70層でレベル上げを始めて4日と7時間が経過した。


 マナポーション30本も使ったから、最後の方はお腹タプタプで戦ってた。


 実は1度だけほかの探索者が来たんだよね。あの時はとても楽しかった、満足です。


 まあ、なかなかのペースで周回していたからか、5日もしないうちにレベルが上がらなくなった。


 頭打ちとなった俺のレベルは、194レベルから更に20上がって214レベルとなった。


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 柊凍夜 18歳 

 レベル:214(20up!)

 称号『極夜』

 固有スキル 『氷界』

 スキル 『氷魔法』『偽装』『換装術』『魔力探知』

『氷属性強化・極』『氷属性耐性・極』

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 なので、ここからは新宿ダンジョンを攻略できる所まで攻略しつつ、並行してレベルを上げていこうと思う。


 いやね、実は俺って90層までしか行ったことないんだよ。

 ぶっちゃけ106層が攻略されたのってそこそこ前だし、余裕で最終到達階層越えられると思う。


 106層までの情報は一通り頭に入れてあるから、早速行くか。



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 <11時間前 とある下層探索者パーティ>


 69層を、ある4人の探索者たちが進んでいた。

 彼らの背後には、録画専用のドローンが浮いていた。



「そろそろ目標の70層の階段に着くぞ、準備しとけよ」



 リーダーらしき、軽装の双剣を持った男が言う。その身を包む装備は傷こそ多いが、優れたものだとわかる。



「分かったわ」



 答えるのは身長ほどの杖を持った女性だ。その杖は先端に澄んだ青色の魔石がはめ込まれている。高品質な水属性の魔石だろう。



「リーダーが1番よく準備忘れるんだから、今のうちにやっときなよ。警戒代わるよ?」



 そう軽い調子で返すのは、顔立ちにまだあどけなさが残る青年だ。こちらも軽装で、おそらく斥候なのだろう。先導を代わるよう提案する。



「そうそう、ちゃんとしないとー。リーダーなんだからさ〜」



 間延びした口調で言うのは、大剣を持った少女だ。その非力そうな見た目とは裏腹に、かなりの重量を持つ大剣を持ち上げている。



「うっせ、そう、警戒頼むわ」


 言葉とは裏腹に、どこか楽しそうに言うリーダーの男。


「おっけー、任せて」



 男に颯と呼ばれた青年が、自信満々で答える。


 彼らは皆B級探索者であり、専業の探索者だ。

 パーティ名は〝明けの空〟レベルは全員が100を超える猛者達だ。



 メンバーは、リーダーの双剣使い、橘風牙たちばな ふうが、魔法使いの水無月琉衣みなづき るい、斥候の鷹居颯たかい そう、そして大剣使いの東雲睡蓮しののめ すいれんの4人である。


 彼らは若くして、すでに80層を攻略している。

 ゆえに、今回の70層攻略もいつもの金策と思い、油断こそ誰もしないが、皆余裕を持って進んでいた。



「着いたぞ、準備は出来てるか?」


「もちろん」「当然!」「できてるよー」



 リーダーの風牙の問いかけに、三者三様の言葉で返す。



「「「「ッ!?」」」」



 そうして彼らが70層の階段を降りた時、揃って目を疑った。



 本来70層は闘技場のような半径2kmにも及ぶ円形の空間だ。だが、彼らの眼前に現れたのは、全てが氷に覆われ、嵐が蔓延る空間であった。



 熟練の探索者である彼らは一瞬イレギュラーを疑ったが、直ぐにその考えを改める。



 なぜなら、目の前で1人の探索者が戦っていたからだ。

 いや、戦っているという言葉は適切ではなかった。



 最早それは、一方的な狩りであった。



 荒れ狂う暴風と降り注ぐ氷柱の雨から逃げ惑うようにモンスターは動いていた。


 それはまるで、神話の領域であった。



 異常なのは、階層全域に影響を及ぼすほどのスキルか魔法を使っておきながら。あれほどの魔力を操っておきながら。



 目の前の探索者は何事もないかのように、ただ悠然と、モンスターに向かって歩いていた。



 モンスターが意を決して、探索者に襲いかかる。



 元の馬鹿げた数を知っているからこそ少なく見えるが、それでも百は下らない数のモンスターが襲いかかる。



 それを───



 瞬間、颯の強化された聴覚が男の声を捉える。



 ──群れたところで何ができる?




 ───腕の一振で風を生み出し、吹き飛ばした。




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