「質問、コーナー?」②


 <新宿ダンジョン 53層>


「それじゃあ次のしつも〜ん、ズバリ! 今、何歳?」


「.........成人はした」


 :あれ?結構若い感じ?

 :してなかったら驚きよ

 :ソラちゃんとそんな変わらなそう

 :ってことは...?


「はいそこ〜! 乙女の年齢は考えない!」


 :ごめんなちゃい

 :許して

 :でもこの前自分で言ってなかったっけ......?



 ノリがいいなあこいつら。

 聞くだけならタダ。はぐらかされたらはぐらかされたで、個人の詮索にならない程度にしつつ、笑いに持っていく。シンプルに会話が上手いな。


 そもそもダンジョン配信って文化はできたばっかだし、今のところ配信見るようなやつはダンジョンが目的だろう。


 しかし、こんな早朝の配信でもチャンネル登録者のほとんどが見るのは、おそらく彼女の会話能力の高さがあってこそだろう。


 今はまだ、ダンジョン配信がそこまで広まってないからこの程度だが。

 ダンジョン配信って文化が広がればそのうちすごい人気になるんじゃないか?


 .........今のうちにチャンネル登録して古参アピできるようにしとくか。



「.........仲がいいな」


「でっしょ〜〜!!」


 :めっちゃ嬉しそうじゃん

 :ニコニコしてる

 :ここは雰囲気がいいのが取り柄だからな


「.........フッ」


「え? 今...?」


「.........いくぞ」


 :お?

 :笑った、だと

 :うおおおおお

 :初めて笑ったー!!

 :笑い方かっこよ

 :¥3000 祝 



 はい、決まった〜〜〜〜!! ここで少しは認めてやった感を出していく!


 タイミング悪いと、〝は? なんでこいつこんな上から目線なの? 腹たつ!!〟みたいになるけど、流れもタイミングもバッチリ!

 しかもすでに俺が上だと示しているから、嫌悪感なく、上位者の、格上のオーラを振り撒いていけるという一石二鳥!


 これは強キャラ度高めですわ。



「あ、スパチャありがとう! って、なんでこんなに盛り上がるの! わかるけど!」


 :いやー俺らのソラちゃんが認められたと考えると、もうね?

 :子の成長を喜ぶ親ってこんな感じなんだな

 :そうそう、喜ばない方が難しいよ


「え、えっと、まあ、ありがと///」


 :照れた

 :可愛い

 :照れたな


「〜〜〜ッ! うるさい! ほら、次の質問いくよ!!」


 :は〜い

 :ニマニマ

 :いつもここに潜ってるか聞いたら?また会えるかどうかだけ知りたい

 :切り替えてこー!


「お〜、それいいじゃん! 『極夜』さん、普段どこのダンジョン潜ってるか教えてもらっても?」


「.........普段は別のとこだったが、しばらくは、ここで活動する。」


「へえ〜! じゃあ、もしかしたらまた会えるかもですね〜! またついていってもいいですか?」


「.........きみが強くなったら、その時は」


「いいんですか! やったね、みんな! また会えるってよ〜!」


 :楽しみにして待ってるー!

 :こういう約束、いいよね

 :やったー!


 コメント、わかってるじゃん! こういう約束ってのは強キャラにしか許されない。そしてだからこそ、雰囲気が出るのだ!


 それにソラさんも視聴者の人たちもいい人ばっかだし、またこうやって一緒に探索するのもいいかもね!

 今は実力差的にキャリーしてるようなものだけど、俺っていう上を知ったわけだし、きっと強くなるでしょ、この子。


 これは思いがけない縁ができたなー。次会った時はまた一緒に探索できるよう、連絡できるようにしてもいいかもな。


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