幼少期 読み書きを覚えよう

「アレックス、ちょっとこれを見て」


 そう父に言われ、見てみるとそれはあまり厚くない本だった。


「これは本って言って字が書いてある紙を綴じた物なんだ。アレックス、この字って言うのが見えるかい?」


父は開いてある本の文字を指を指して聞いてきた。

読めないが、もちろん文字と言うはわかる。


「これはア、これはイだよ」


僕はうなずくと「うん」と言い

父はそれをゆっくりと発音しながら繰り返す。


また僕も繰り返すうちに、これはちょっとローマ字に似てると思った。


それを繰り返すうちに父は今度は小さな黒板の様な物とチョーク見たいな物と黒板消し見たいな物をテーブルの上に置いた。


 ちなみにテーブルは赤ちゃん用のテーブルだ。


「これを持ってこの上に滑らせると白い跡が残る。

そしてこの道具を上に滑らせると跡が消る、

アレックス、やってごらん」


僕は言われた通りに石筆を握って文字を書いてみた。


「そうそう、そうやって書きながら言葉を出していくん」


父はとても教え上手でわかりやすい、文字は全部で32文字、とても少ないからすぐに覚えた、他にも漢字の様な字だったり、英語の筆記体の様な物もあるかも知れないけども。


「アレックス、今度は数字と言う文字もやって見ようか」


僕は言われた通りさきほどの様な事を繰り返す。


数字は前世とかたちは違うけれど、

全部で10文字の10進法だった、だからこれも簡単に覚えられた。


 赤ちゃんテーブルの上で結構な時間、父は前屈みになって教えてくれたのに感謝だ。


 その間、同じ空間に居る母と姉は何かしているけど、何かはわからないけど、何やら楽しそうにしている。


たまに言葉を交わすけど、結構静かで僕も集中出来た。


 僕は今日覚えた事を、明日になっても覚えている自信がある。


でも今日文字を覚えてしまうと、また明日から何をしよう。


 姉がいるし、明日は黒板で文字の教えあっこでもやろうかな。


 …そして翌日になり、いつも通りの朝がきた。

ちなみ僕は1番起きるのが遅い、まだ2才だからしょうがないよね。


「ねえおねぇちゃん、今日は石板で遊ぼ」


「アレックス、良いわよ、

どんな遊びなの?」


「この石板をつかってもじの教えっこしよう」


「あら、アレックスは石板を気に入ったのね」

 と母が言う。


「うん、とっても気に入った」


僕は赤ちゃんテーブルの上で石板に早速文字を書いて行って消した。

 うん昨日事は覚えてた。


 姉はその様子を見て首を傾げたが、特に気にしていない様子。


 母は何か若干固っていた様に見えた。


「ねえ、今度はおねぇちゃんがやって」


「うん、わかった」


 そして姉も赤ちゃんテーブルの上で文字を書き始める。


…あれ、僕は見ていて焦ってしまう。


姉が書いていく文字はゆっくりで、反転していたり、

読み取れなかったからだ。


 でも姉はその事を気にする様子もなく、とても笑顔だった。

 

「リタリア、ちょっと間違ってるけど上手に書けたわね」


母はそんな事を言い

「今度はお母さんもやってみるから、3人で遊びましょ」


 そして母は石板に文字を書いていく。

うん、間違えは無いけどあまり綺麗じゃない様な気がする。


 そしてまた今度は僕が書く…また若干母は固っている気がする。


 少し気掛かりなのは、ちょっとやらかしちゃったかもと思いながらも、

大丈夫、これくらい問題ないだろうと僕は思った

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