精霊レンタルキャラバン -転生して貴族令嬢になったのに、不幸体質はいらないと追放されたので、旅をしながらレンタル業という名の何でも屋をやって毎日充実しています-

つきがし ちの

第0話 追放令嬢の現在は旅商人!?


お父様、貴族社会から追放してくださって、どうもありがとうございました。


おかげさまで、私は今、前世で読んだのような未来を送ることなく、毎日が充実しています。



「ご主人!準備終わったよー!」


「パフォーマンスもいつでも始められるよお~!」



お店の開店準備をしている私に、精霊たちはそう声をかけました。



「了解っ!」



私はそう答えると、最終調整に入ります。


今日は晴天、街の人通りは多い。


噴水前の即席野外ステージのじゅんびもOK


くるりと体を翻し、両手をパンッとたたくと、



「レディース&ジェントルマン!!」



道行く人たちに聞こえるように、こう叫びました。


そしてその叫びを合図に、、精霊たちはいっせいに楽器や歌で曲を奏でます。


その美しくも激しい曲に心を奪われた道行く人々は足を止めます。

客引きはばっちり。


私は言葉を続けます。



「これより、わが店自慢の精霊たちが、この世のものとは思えないパフォーマンスを繰り広げます!とくとご覧あれ!」



そして、私は両手をあげてこういいます。



「ようこそ!精霊レンタルキャラバンへ!!」



伯爵令嬢『ティアレス・ルービット』だったのはもう昔のこと。


今はただの旅商人、『ティアス・レイン』です。





時はさかのぼり一年前。


父の書斎にはパァンッと強い音が響き渡りました。


それは私、ルービット伯爵の娘、ティアレス・ルービットが、父から平手打ちをされた音。


クリティカルヒット、私の体は軽く吹っ飛び床に転がりました。


同じ部屋にいる次兄は私が打たれる様を黙って眺めていて、殴った張本人の父は、鬼の形相を浮かべながらこう言いました。



「お前のせいで、すべて台無しだ!」



父からそう怒鳴られた私は、打たれた自分の頬を手でかばいながら、上半身を起こし、父の方に視線を向けます。


見上げた時に見えた父の表情は、まさに鬼の形相。


怒りはまだ収まっていないようです。


それもそのはず…



「今日お前がへまをしなければ、ジョシュアの縁談が成立したというのに!」



理由はよくわからないのですが、私の何かの行動によって、家の次男の縁談を壊してしまったようです。

全く心当たりはありませんが、原因は間違いなく私です。


だって、私は不幸体質なのですから。


そのことを重々理解している私は泣きません。


そんな私を気に食わなく思ったのか、次兄は舌打ちをすると、ゆっくり私に近づき、私の髪の毛を引っ張ります。



「兄貴だけじゃなく、俺にまで迷惑かけるなんて…ほんと疫病神だな」



と、憎々しい表情で私をにらみます。

まぁ、長兄の時にしでかした失敗もあるのに、自分の縁談が壊されたのです。

何の改善も見られていないといらだたれるのも、当然といえば当然です。



そして、次兄はつかんでいた私の栗色の髪を乱暴に手放すと、こう叫びました。



「さっさと荷物をまとめて出ていけ!不幸しか呼ばない人間は不要だ!」




そんなこと、次兄に決める権利はありません…が…


残念なことに、父は次兄の意見に賛同のようです。


なので、次兄の言葉につつけて、父からもこう言われました。



「お前など絶縁だ!貴族社会から追放する!」



反論の余地はなく、私の追放は決まりました。

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