第54話


私と琥珀の視線が絡み合う。


僅かに、琥珀の瞳が揺れた。



「琥珀の気持ちが知りたい」



琥珀が、右手を私の方へと差し出す。


その右手を左手で握ると、引き寄せられ、私は立ち上がる。



「話しは、中で」



琥珀の言葉に招かれる様に、足を1歩、前に出す私。


バタンとドアが閉まった後、カチャリと、自動でロックされた扉。


部屋の中にも、あちらこちらに、蝋燭の火が、怪しく揺れている。


ベッド以外、何もない部屋。


1歩、更に1歩、ベッドの方へと導かれる。



「永遠は、もうこの世に居ない」



それが、何を意味しているのか、私は知っている。


床にあったのは、永遠の血。


死体は、曼珠沙華が咲く庭の土の中。



「君が欲しい」



琥珀は、そう言うと、私の身体を、ベッドの方へと倒す。


バスッと音が、耳元でした時には、琥珀に覆い被さられていた。



「君の血を吸えば、この身は消える。

何故なら、君は、吸血鬼にとって、禁断の赤い瞳をしているからだ」



ゆっくりと、言葉を紡ぎながら、私の着ている物を、脱がせる琥珀。



「赤い瞳の人間に、流れている血は、吸血鬼にとって、安楽死を意味する血。

そして、肉体を求めれば、この世から消える」



私が求めていた結果じゃない事が悲しい。


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