学校と、仲間と、彼女自慢?

 幼馴染の譲羽ゆずりは紗雪さゆきは、なぜか俺の飼い犬に張り合おうとしてくる。そして、学校ではそんな紗雪について聞かれることもあって……。


「最近さ、譲羽ゆずりはのやつお前んちの飼い犬みたいになってない?」

「え、そうかな……確かにうちのくるみに張り合ってはくるけど……」


 いつものように仲間内であーだこーだと犬自慢をしているときだった。

 まさか、紗雪についてツッコミを入れてこられるとは。


「ちなみにどんな感じで張り合ってくんの?」


 興味本位だろう、ニヤニヤとしつつ三人の仲間が顔を寄せてくる。


「たとえば? えーっと、前にあったけど、くるみのボール遊びの動画見て……俺が消しゴム落としたときに速攻で取ってきてドヤ顔してきたりとか」

「ぶはっ!」

「わんこじゃん!」

「へぇ……あの譲羽がねぇ」


 ちなみに今、紗雪は教師の手伝いで席を外している。


「あとは、犬スタでくるみの自慢してることについて、自分の自慢はしてくれないのか! とか」

「で、それにはなんで答えたんだよ彼氏くぅん?」

「お前のことは独り占めにしたいから自慢はしないって」

「この惚気野郎が!!」


 いきなり叫ばれて、思わずビクッとしてしまった。いやまあ、惚気野郎なのは間違いないんだけど。


「お? そんなエピソードがポンポン出てくるってことは、さては毎日デレられてるな? ん? ん?」

「そうだね……」


 否定はしない。


「お前、今度からくるみちゃん自慢と一緒にいちエピソード持って来てよ。そしたら昼のジュース奢ってやるから」

「え、マジで?」


 ちょっと心惹かれる。

 でもな。今回は勢いで喋っちゃったけども、一応紗雪自身にもさりげなく話してもいいか確認取っておかないといけないし……。


「紗雪に言っていいか聞いて、みるよ……」

「お前……」


 そうしたら、仲間の一人に哀れなものを見る目で見つめられた。な、なぜ!? 


「もう尻に敷かれてんのか……? 頑張れよ」

「違うし!!!」


 俺の必死の否定は「はいはい分かったよ」と流されてしまったのだった。

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