第1話 好きな人が義妹になった
「ピーンポーン」
静かな部屋にその音が
父さんが急いでインターホンを確認しに行く。
誰だ?こんな土曜日の朝に。
玄関から父さんと知らない女の人の声が聞こえる。
父さんの知り合いかな。俺は気にせずリビングのソファーで漫画の続きを読む。
5分ぐらい経つと父さんとその女の人が部屋に入ってきた。
「
急にどうしたんだ?
疑問に思いながらも言われた通りに椅子に座る。
俺の向かいに父さん、その隣の席にその女の人が座る。
「青維、紹介するよ。この人は父さんと同じ会社に務めている
……やっぱり、か。実はほんの少し前からそういう人がいるんではないかと考えていた。
最近外食する回数が増えていたし。
でもこんな急に伝えられると思っていなかったからびっくりした。
でも反対はしない。父さんは俺が5歳のときに母さんを交通事故で亡くしてから男手一つここまで育ててくれた。だから父さんには幸せになって欲しいと心から思う。
「よかったね父さん、いい人が見つかって。優美子さん俺が言うのもあれなんですけど父さんをよろしくお願いします。」
「青維っ......ありが、とう。」
「青維くんありがとう。」
「改めて紹介させてくれ、明日から青維のお
ついに俺にも
「早速明日2人がこの家に引っ越してくるんだ。心の準備をしておいてくれ。」
明日からか。結構急だけど父さんのためだ。
その日、優美子さんとちょっと話をしてお開きになった。
◇
日曜日。今日は
「ピーンポーン。」
引っ越し屋さんが優美子さん達の荷物を運んできてくれる。
荷物を全部運び終わったぐらいに優美子さん達の車が家に到着した。
父さんによると優美子さんの娘さんは俺と同い年らしい。だが俺は7月で娘さんは10月なので俺のほうが年上という扱いになる。つまり娘さんはおれの新しい
父さんと優美子さん、新しい
「優美子さん、”
ん?”愛莉ちゃん”ってあの”愛莉ちゃん”、じゃないだろうな?
きっと違うよな他の”愛莉ちゃん”に決まってる。
優美子さんと愛莉ちゃんがリビングに入ってくる。
その瞬間俺はフラグが回収された。
まさか本当にあの”愛莉ちゃん”だなんて。
目の前にいたのは俺と同じクラスで俺の"好きな人”でもある
どうして
俺は2人に軽く頭を下げた。
俺の存在に気づいたのか愛莉さんがこっちをずっと見てくる。
どうして見てくるんだ?やっぱ気づいたのか?
「青維、父さんと優美子さんは色々書類を書くからその間に愛莉ちゃんを部屋に案内しておいてくれ。」
この家は一軒家で部屋が何個か余っている。
「うん、分かった。い、行こうか。」
無言のまま部屋の前まで来る。
「ここが愛莉さんの部屋です。好きなように使ってください。」
「あの、あなたって
ニコッと効果音がつきそうな笑顔で俺に言ってきた。
愛莉さんの笑顔が間近で見れた......可愛い、じゃない!やっぱりバレてた。
「よ、よろしくお願いします。」
「あなたの方がお兄ちゃん
「う、うんいいよ。俺も愛莉さんでもいいかな?」
「うん。じゃあ私、部屋の整理してくるね。」
俺、今好きな人と話してるんだよな。
片想い歴3ヶ月、一回もまともに話せてなかったのにこれは父さんと優美子さんに感謝だな。
でも義兄妹になったんだからこの気持ち無くさないとだめだ。
これからは俺の”好き”を家族としての”好き”に変えなくてはならない。できるかな?
「2人とも、夜ご飯できたよー。」
下から優美子さんの声が聞こえたので下に降りる。
「今日は引越し祝いってことでちょっと豪華にしちゃった。」
テーブルの上には優美子さんが作ったであろう豪華な料理が並んでいた。
誰かの手料理を食べるのはいつぶりだろうか。
いつも父さんは帰りが遅く惣菜パンや冷凍食品を食べていた俺に取とって手料理は新鮮だ。
「それじゃみんな揃ったことですし、食べましょう!」
「いただきます。」
「そういえば父さんたちは結婚式は
「せっかく結婚するんだからあげてもいいんじゃないの?」
俺もその意見に賛成だ。せっかく結婚するなら結婚式は挙げたほうが思い出にも残るはずなのに。
「もうこの年で結婚は難しいと思って。でも新婚旅行は行こうと思うんだ。」
「いいと思うよ。」
「うん!この家のことは私達に任せて2人で新婚旅行楽しんできて。」
「愛莉、青維くんありがとう。それなら来週の土日に行こうと思うんだけど大丈夫?」
「特に予定はないので大丈夫ですよ。」
「私もないよ。」
「なら決まりね。ふふっ楽しみね
「ああそうだな優美子さん。」
2人が幸せならいいか。それにしても父さんたちは新婚旅行で土日いないのか。
ん?待てよ、父さん達がいないってことは愛莉さんと2人きり!?だ、大丈夫か俺?
その後はこれからのことについてゆっくり話ながら夜ご飯を食べた。
はぁ、今週の土日は色々あったな。まさか俺の好きな人と家族になるなんて思ってもなかったな。
どうか
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